撮影日記


2010年02月07日(日) 天気:晴れ

ヘーグ0,始動

ヘーグ0は,後にツァイス・イコンになった会社の1つであるエルネマン社が製造したコンパクトな乾板カメラで,1919年ころの製品である。入手したカメラそのものに重大なトラブルは生じていないようだが(2009年6月14日の日記を参照),残念なことにフィルムホルダがない。ロールフィルムホルダなどという贅沢は言わぬ。せめて乾板ホルダでもあれば,暗室でフィルムをカットして流用することも可能になるのだが(2008年10月25日の日記を参照)。
 ところが。
 ヘーグ0を眺めていて,ふと気がついた。ヘーグ0の画面サイズは大名刺判,ほぼ6cm×9cmである。6cm×9cm判ということは,マミヤプレスのロールフィルムホルダをなんとか利用できるのではないだろうか?ためしに,マミヤプレスのピントグラスをあてがってみると,ちょうどよい大きさである。

もちろん,そのまま利用できるわけではない。そこで,木切れを使って,簡単な枠を作成してみた。うまく使えるようなら,きちんとつくりなおしてもいい。

ヘーグ0は,とても軽くてコンパクトなカメラだ。しかし,これと組み合わせるマミヤプレス用のロールフィルムホルダは,ヘーグ0にくらべると巨大で重い。それでもマミヤプレスを持ち歩くことにくらべれば,きわめて小さく軽いものになる。こういう日は横着をして,三脚もスリック・プロミニで済ましてしまおう(笑)。
 川沿いに歩いて,平和記念公園を目ざす。雁木タクシーなどの遊覧船が,いつもより多く運行されているように見える。天気がよくて,遊びに来ている人が多いのだろうか。広島平和記念資料館を見れば,報道陣と思しき集団がある。そして,広島平和記念資料館にはリムジンが横づけされ,軽い緊張感が漂っている。聞けば,パレスチナ自治政府のアッバス議長がちょうど訪問されているとのこと。なにかとにぎわっている,休日の平和記念公園である。
 さて,今日はスリック・プロミニしか用意していないので,ヘーグ0の試し撮りをする場所はなにか台のようなものがある場所が好都合だ。となると,原爆ドームの対岸から原爆ドームをねらうのが素直だろう。

マミヤプレス用ピントグラスをつけてシャッターを開放し,レンズを慎重に前後してピントをあわせる。マミヤプレス用フィルムホルダを取りつける枠のために厚みが増し,ヘーグ0に記されている距離目盛が利用できないのだから,しかたがない。
 ピントをあわせたら,シャッターを閉じる。シャッター速度レバーをTから100に変更し,別に用意した露出計にしたがって絞りをF8とF11の間にセットする。そして,フィルムホルダを取りつけ,引き蓋を抜き,シャッターをレリーズする。フィルムを巻き上げ,引き蓋を戻せば,撮影は完了。マミヤプレスを使い慣れていれば,とくに問題なく撮影はできるだろう。しかもヘーグ0のシャッターは,チャージの動作が不要なエバーセット型。シャッターレリーズレバーを押せば,いつでもシャッターを切ることができる。操作はむしろ,簡単である。いや,簡単すぎて,かえって二重写しなどをやりやすいかもしれない。自動車の運転でも,操作の簡単なAT車ほど,アクセルとブレーキを踏み間違えることによる暴走事故の危険性がMT車よりも高いとされているが,それと同様のことだ。

Ernemann heag0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, ACROS 100
Ernemann heag0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8, ACROS 100

← 前のページ もくじ 次のページ →