撮影日記


2009年10月12日(月) 天気:晴

ボルタ判カメラを使ってみよう

ボルタフィルムを使うおもちゃカメラ「ホビージュニア」を入手できたのでさっそく使ってみようと思うが,「ボルタフィルム」は,現在,売られていない。ところが幸いにも,入手した商品はカラーネガフィルムも附属したセットだった(2009年10月07日の日記を参照)。そうは言っても30年近く前の商品。附属しているフィルムの使用期限は1982年で,とうの昔に切れている。こんなに古いフィルムが,実用的に使えるとはとても思えない。むしろ「未開封」のまま保存しておいた方が,価値がありそうだ(笑)。
 ボルタフィルムの幅は,一般的なパトローネ入り35mmフィルム(135フィルム)と同じく,35mmである。そして,このフィルムを裏紙とともにスプールに巻いたものである。つまり,裏紙とスプールさえあれば,135フィルムのなかみが流用できる。スプールは,入手したカメラのなかに1本はいっている。必要なものは,裏紙ともう1本のスプールだ。どうやって入手すればよいか。
 いや,なにも思案するまでもない。ここにあるじゃないか。「未開封」のまま保管しておきたい気持ちはあるが,ここは思い切って,開封してしまおう。

未開封の「ライトパンカラーIIボルタ」だが,
思い切って,開封してしまおう。
ボルタフィルムは,120フィルムと同様に,密封されていた。
ライトパンの箱に入っていた説明書には,「カメラに装填してからシールをはがす」ということが記されていた。
フィルムは湾曲して装填されるようになっている。レンズの性能を補うための工夫であろう。
巻き上げ側のスプールに先端をはさみこんで,蓋を閉じる。
あとは,赤窓に「1」が表示されるまで,フィルムを送ればよい。

ライトパンの箱には,2枚の説明書がはいっていた。露出表が記されているのかと思えば,さにあらず。1枚にはフィルム装填の注意事項が,もう1枚にはフィルムの入手についてのことが記載されていた。ボルタフィルムを使うカメラは,シャッター速度や絞りの調整がほとんどできないに等しいような「おもちゃカメラ」が多いので,露出表など必要ないだろう。カメラのほうで「天気のよい日に外で写してください」などと説明をしておけば十分だ。
 ライトパンの説明書うち1枚には,このフィルムが「玩具店」で売られているかのような記載がされていた。また,これらの説明書で注目すべき点は,「子ども向け」に書かれていると思われることである。あまり漢字を使わないようにしているようすがうかがえる。しかし,全体にはもうちょっと平易なことばに限定できたのではないだろうか。たとえば上の画像に,「プリントのさいはフジカラープリントとご指定ください」という表記が見られるが,このようなケースでは無造作に,「プリントの際はフジカラープリントとご指定下さい」と書かれるケースが少なくないのではないだろうか。さらにご丁寧に(笑),「プリントの際はフジカラープリントと御指定下さい」と書きたがる人もあると思う。「際」を「さい」と表記しているのは,「子ども向け」を意識しているものと思うが,ほんとうに「子ども向け」を意識するなら,せめて「プリントのときはフジカラープリントとご指定ください」にしてくれてもよかったはずだ。ともあれ,「子ども向け」にかぎらず一般のコンシューマー向けとされる製品においては,基本的に全体に平易なことばで記すという態度をとってほしいものである。もっとも,ある程度は専門用語を説明なく使ったり,難解な表現を使ったりしておかないと,「自分はこんな初心者向けの製品を買ったんじゃない!」などと言って,マニア層が満足しないかもしれないが。いや,これは考えすぎか。

ともかく,フィルムを装填して蓋を閉じ,赤窓に「1」を出すようにフィルムを巻き上げていく。スタートマークを通りすぎたあたりで急になにかにひっかかった。少し力を入れると,なにかがはずれたような感触。
 暗室で裏蓋を開け,フィルムのようすを手でさぐってみると案の定,フィルムが裏紙からはずれてしまい,レンズのところへ巻きこまれてしまっている。フィルムを裏紙にとめる粘着テープが,古くなって劣化してしまい,はずれてしまったようだ。手さぐりでフィルムを巻き上げ軸に巻きつけてあらためて蓋を閉じ,赤窓に「1」が出るまでフィルムを巻き上げる。これでようやく撮影準備が完了した。
 なるべく早くこのフィルムで撮ってしまい。あたらしい135フィルムをこの裏紙とともにスプールに巻き取って,あらためて試し撮りに挑みたいところである。


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