撮影日記


2009年09月24日(木) 天気:晴

それでも秋はやってくる

梅雨の前には,かなりの少雨が心配されていた。梅雨に入ると,大雨が続き,梅雨明けが遅れることが心配されていた。梅雨が明けたころにはすでに暑さはやわらぎ,冷夏傾向が心配されていた。
 この夏の気候は,例年とは少しようすが違っていた。しかし,先週あたりから,例年のようにヒガンバナがその姿をみせるようになった。少し遅いような気もするが,なんだかんだいっても秋はちゃんとやってくるのである。
 シルバーウィーク明けの今日,いつもヒガンバナを撮りに行く川の土手は,ちょうど咲きそろったばかりのヒガンバナが群れている。この土手は,例年,9月上旬に草刈がおこなわれる。いつもより少し早く芽を出したヒガンバナは,無情にもほかの草といっしょに刈られてしまう。だから,少し遅いくらいでちょうどいい。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E-II 75mm F2.8 + Extension Tube E-28, REALA

接写の基本的な考え方として,被写体とフィルム面を平行にすることが求められる。被写体との距離が近い場合には,十分な被写界深度が得られないためだ。
 ところがヒガンバナは,小さな長い花の集合体である。その先端がつくる空間は球状になっており,たとえばシベの先端を結んでような平面を仮定することも難しい。
 だから,背景が赤いかたまりになってしまうような位置で,「えい,やあ」とばかりにピントを決めて写すことになる。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E-II 75mm F2.8, REALA

だから,ヒガンバナは,上から見おろすよりも下から見あげるほうがいい。
 ヒガンバナが形づくる空間を構成する1つ1つのパーツは,あくまでも細かい。よほどヒガンバナが密生していなければ,それらの間から雑然とした地面が見えてしまう。
 だから接近して,見あげることにする。川の土手は,高さが十分にあるのでこういう撮り方が容易だ。ウエストレベルファインダーのカメラを使えば,さらに撮りやすいことは言うまでもなし。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON MC 150mm F3.5, REALA

ヒガンバナには,アゲハチョウがよくやってくる。
 アゲハチョウがヒガンバナを好むのか。たまたま,アゲハチョウの活動時期や場所が,ヒガンバナの開花時期や分布地域と一致しているだけなのか,そのあたりはよく知らないが。

一眼レフカメラは,動いている被写体をおいかけやすい。そうはいっても,アゲハチョウは細かく動き続け,なかなか静止してはもらえない。しかも,必ず花の向こう側で静止しやがる(笑)。お昼休みの限られた時間のなかでは,「とりあえず写しました」でせいいっぱい。
 まあ,ピントグラスとフィルムホルダをつけかえるようなカメラでアカトンボを写そうなどと考えるよりは(2009年9月13日の日記を参照),よほど現実的である。


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