撮影日記


2009年09月08日(火) 天気:晴ときどき曇

ミノルタSR-1の改良

1959年7月に発売されたミノルタSR-1は,少しずつマイナーチェンジ(改良)を繰り返されてきた。その後,モデルチェンジと同時に名前を少し変えたミノルタNew SR-1が1965年5月に,さらに1/1000秒のシャッター速度を搭載したミノルタSR-1sという名称のカメラが1967年6月に発売され,「SR-1」というカメラはロングセラー商品となっていった。(※1)
 昨日の日記でもふれたように,発売当時のミノルタSR-1は完全自動絞りが実現されていなかった。シャッターレリーズ後は絞りこまれたままであり,次の巻き上げをおこなってようやく,レンズが開放に復帰するのである(完全自動絞りは,後のバージョンで実現される)。
 自動絞りは,一眼レフカメラにおいてきわめて重要な機構である。そのような大規模な改良が加えられたにもかかわらず,ミノルタSR-1はその名称を変えなかった。そしていつのまにか,その外見も大きく変化していたのである。初期のバージョンと後期のバージョンを並べてみると,ちょっとした「間違いさがし」の問題のようだ。

左:初期型ミノルタSR-1の例
右:完全自動絞りや露出計連動機構が搭載された後期型ミノルタSR-1
外見では,露出計を取りつけるシュー,フィルムカウンタ,ロゴに違いがみられる。

以下では,フィルムカウンタが巻き戻しクランクのそばにあるものを初期型,フィルムカウンタが巻き上げレバーのそばにあるものを後期型ということにする。

「サンケイカメラ」1959年9月号でミノルタSR-1がミノルタSR-2の下位機種に位置づけられる新製品として紹介されているが,翌年1960年3月発行の「カメラ総合カタログ」vol.1や1960年10月発行の「カメラ総合カタログ」vol.3には,ミノルタSR-2の記載はすでにない。販売の主力は,早々にミノルタSR-1になったようである。
 そこに掲載されている製品写真と私の手もとにあるミノルタSR-1をくらべてみると,シャッター速度ダイアルが異なっていることに気がつく。「カメラ総合カタログ」に掲載されているミノルタSR-1のシャッター速度ダイアルを見ると,125,250,500の数字から,それぞれかなり接近した状態で引き出し線が伸びており,目盛が等間隔ではないことがわかる。一方,私の手もとにあるミノルタSR-1のシャッター速度ダイアルの目盛は等間隔になっている。もっとも初期のモデルに,少し改良が加えられたものだろう。

半自動絞りの初期型ミノルタSR-1だが,シャッター速度ダイアルの目盛は等間隔になっている。

さて,私の手もとにあるものと同じ,シャッター速度ダイアルの目盛が等間隔になった初期型ミノルタSR-1は,いつごろから登場するのだろう?
 「カメラ総合カタログ」vol.6(1961年9月発行)を参照してみると,そこにはまったく違ったミノルタSR-1が掲載されている。シャッター速度ダイアルの上に,露出計がかぶせられているのだ。この状態ではわからないが,カメラに向かって左側,初期型では「SR-1」のロゴがあったところには,露出計を固定するためのシューが設けられているのだろう,ロゴがカメラに向かって右側に移動している。
 このモデルが登場したはっきりした年月はわからないが,1960年の後半から1961年の前半にかけて登場したと考えることはできそうだ。

さらに,完全自動絞りになった後期型ミノルタSR-1はいつ登場したのだろうか。残念ながら,いま私の手もとにある雑誌等からでは判断できない。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の1963年版から1966年版を入手できれば,なにかヒントがみつかるかもしれない。

完全自動絞りの後期型ミノルタSR-1では,露出計を固定するための機構が設けられ,フィルムカウンタの位置が変わり,さらに「SR-1」のロゴの位置や色が変わったため,まったく違うカメラになったような印象を受ける。

このあたりの細かい分類などについては,ウェブサイトを検索すればきちんとまとめられているページが見つかるので,そちらを参照していただくのがよいだろう。

ところで,キヤノンオートボーイ3のセールスコピーは「名前を変えたいくらい新しい」(日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol.87,1986年)だった。ちょっとした仕様の変更でも,名前を変えて新製品にしてしまう昨今の風潮を「節操ない」というべきなのか,ミノルタSR-1のように名前を変更しないのを「頑固」あるいは「横着」というべきなのか,そのへんはよくわからない。
 この点,あなたはどう評価する?

※1 各モデルの発売年月は,コニカミノルタのウェブサイトによる。
     http://ca.konicaminolta.jp/history/index.html


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