撮影日記


2009年08月31日(月) 天気:晴

まもなく名月の秋

9月ころは,月の位置が見やすい角度にある。このことから,月見のシーズンとなるようだ。もっとも,今年の「中秋の名月」とされるものは,10月4日とのこと。つまりは,まだ1か月も先のこと。ということは,あと1週間もすれば,その1回前の満月ということで,ちょうどいまは上弦の月になっている。
 上弦の月の場合,夕方にはすでに南東の空の目立つところにある。月見に適したシーズンらしく,高度は少々低めであるから,なおさら目につく。今日は少し風が強い。関東方面に台風が接近している影響もあるのだろうか。おかげで,空がふだんよりもきれいに感じる。

月がとってもきれいだから,というわけでもないが,今夜はゆっくりできるのでひさしぶりに望遠鏡を使ってみようと思った。月を眺めるくらいであれば,ずっと以前からうちにあるペンタックスの5cm屈折望遠鏡でも十分であるが,いまはさらに東の空に木星も明るく輝いている。そこで,恵まれない住宅事情のために,奥にしまいこまれたままになっていたビクセンの8cm屈折望遠鏡をむりやり引っぱりだしたのである。ちなみにかなり古い機種であり,ずいぶん以前に譲り受けたものである。
 5cm屈折望遠鏡でHM12.5mmの接眼レンズを使って木星を見ると,ガリレオ衛星の存在が確認できる。木星表面の縞模様については,筋が1本見えるか見えないかという程度だ。一方,8cm屈折望遠鏡であれば,筋の存在が2本くらいははっきりとわかる。まあ,その程度の差なのだが,それが楽しいのである。

8cm屈折望遠鏡で月を眺めてみる。K30mmの接眼レンズに交換すれば倍率は低くなるが,シャープで明るい画像が目にとびこんでくる。こうやって見ると,月はけっこうまぶしいのだ。
 そこでふと,思いついた。先日,ジャンクワゴンから救出したディジタルカメラ,SONY DSC-P2を使えば,コリメート撮影が簡単にできるんじゃないだろうか?

望遠鏡を使って撮影する方法は,3つある。
 1つは,直焦点撮影という。望遠鏡の接眼部をはずして,レンズのかわりに望遠鏡をカメラに取りつけて撮影する方法だ。手もとにあるビクセンの8cm屈折望遠鏡の焦点距離は1200mmなので,これで直焦点撮影をするということは,望遠鏡を1200mm F15の超望遠レンズとして使用することになる。
 次は,拡大撮影という。望遠鏡の接眼部をはずさない状態で,望遠鏡をカメラに取りつけて撮影する方法である。この方法では,直焦点撮影よりも拡大した画像が得られる。また,接眼レンズを交換することで,撮影倍率も変更できる。ただし,あまり拡大すると,画像も暗くなり,ブレの影響も受けるようになるので,撮影が難しくなる。
 そして,コリメート撮影がある。簡単にいえば,望遠鏡の接眼レンズをカメラのレンズで覗きこんで撮影するものである。カメラのレンズが小さいほど,覗きこみやすいわけで,口径の小さなレンズが採用されているコンパクトディジタルカメラに適した撮影方法ではないかと思ったわけだ。

さっそく,K30mmの接眼レンズをつけた望遠鏡を月に向けた。DSC-P2の電源をONにし,レンズを接眼レンズに密着させる。DSC-P2のLCDに,月の姿がくっきりと表示された。そのままシャッターレリーズボタンを押す。意外と速いシャッター速度が切れたようだ。レリーズのタイムラグも感じられず,シャッターレリーズのショックもない。

Vixen 8cm, K30mm, SONY DSC-P2でコリメート撮影, 600px×450pxに縮小
Vixen 8cm, K30mm, SONY DSC-P2でコリメート撮影, 600px×450pxにトリミング

測光モードをスポット測光にし,あとは露出もピントも,すべてディジタルカメラまかせである。この程度の画像であればあまりにも簡単に得られてしまうので,むしろ呆れかえってしまう。なんといっても,DSC-P2そのものは手持ちである。DSC-P2をうまく接眼レンズに固定できれば,もっと簡単に撮影が可能になるはずだ。
 ただ,さすがに月にくらべれば小さく暗い木星は,簡単には写ってくれない。それでも,木星を視野の中央に入れれば,なんとかこれくらいは写ってくれた。
 月以外の天体を撮影するには,それなりの機材と練習が必要である。望遠鏡で見た場合,天体の日周運動の速さを思い知るはずだ。そう,追尾装置とそれを使いこなす技が必要なのである。

Vixen 8cm, HM12.5mm, SONY DSC-P2でコリメート撮影, 600px×450pxに縮小
Vixen 8cm, HM12.5mm, SONY DSC-P2でコリメート撮影, 600px×450pxにトリミング

 画像はいずれも,上下左右反転させている。


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