撮影日記


2009年08月22日(土) 天気:晴

私とディジタルカメラ

私が最初に入手したディジタルカメラは,1997年に発売されたリコーDC-3というものであった(1998年5月27日の日記を参照)。撮像素子は35万画素CCDで,640ピクセル×480ピクセルの画像が得られるものである。
 この製品の特徴は,ラップトップ型PCのようにLCD部を開けば,撮影態勢になるというスタイルをもっている点である。これは,フィルムを使った従来のカメラではありえないスタイル。ディジタルカメラでなければ不可能なスタイルであった。そのころのディジタルカメラは画質を語ることがナンセンスなものであったが,そのかわり,ディジタルカメラでなければありえないスタイルのものが目立っていたように思う。
 リコーDC-3のスタイルは撮影しやすい形ではあったが,日中の屋外ではLCDがたいへん見づらく,まだまだ製品としての完成度は低かったように思う。

DC-3には,ほかにもおもしろい点がある。
 簡便なカメラらしく,ピントは60cm〜∞の範囲の固定焦点になっているが,マクロモードではレンズ先端から1cmまでの接写が可能であった。しかも,60cm〜1cmの範囲は,マニュアルフォーカスなのである。さらに内蔵フラッシュは赤目軽減などのためのプリ発光をしないため,ワイヤレススレーブユニットを利用して外部フラッシュを使うことも可能であった。
 つまり。
 カメラを分解したときの記録など,細かいものの接写には,意外と実用性が高かったのである。
 ただし,リコーDC-3のレンズは,まったくのダメダメである。歪曲がこれでもかというくらい,激しいのであった。当時のディジタルカメラの性能では,レンズの性能を語ることなどナンセンスであり,性能にこだわったレンズを搭載する必要などなかったのであろう。

その翌年,私はメガピクセル機とよばれるディジタルカメラを入手した。オリンパスC-1400Lというものである(1999年4月15日の日記を参照)。いまやメガピクセルという言い方はすっかり忘れられているだろうが,当時,撮像素子が100万画素以上のものを,そのようによんでいたのである。

OLYMPUS C-1400L

オリンパスC-1400Lの特徴は,メガピクセルである,ということだけではない。いちおう一眼レフカメラになっていたことが,なによりもの特徴である。最近反射光学系を利用した光学ファインダーをもたないタイプのディジタルカメラで,一眼レフカメラ風のデザインをもつものが「一眼カメラ」などと称しているが,それらはたとえ豊富な交換レンズが用意されているシステムカメラであっても,決して一眼レフカメラではない。一方,オリンパスC-1400Lはズームレンズが固定されていてレンズ交換はできないが,一眼レフカメラになっていたのである。
 オリンパスC-1400」は,ズームレンズ一体型一眼レフカメラである,オリンパスLシリーズに似たディジタルカメラであり,システムの拡充性やマニュアル操作について問題点があるものの,フルオートで使用するならとても使いやすいスタイルである。そして,オリンパスLシリーズとは異なり,小型軽量化されているので,結果としてたいへん使いやすいカメラになっていたのである。
 一眼レフ形式のファインダーをもつせいか,LCDに表示される画像を見ながら撮影するという,ディジタルカメラならでわといえる使い方はできないようになっている。そこがカメラらしくて使いやすいと感じられることにつながっているのかもしれない。

そんなオリンパスC-1400Lだが,大きな欠点を2つ指摘しておきたい。
 まず最初に指摘したい問題点は,電池の消耗が激しいことである。Ni-Cd電池は,事実上役に立たなかった。Ni-MH電池を使用することで,ようやく実用的になったと感じられたものである(2000年12月6日の日記を参照)。つねに電池のことを心配しなければならないことは,ディジタルカメラを使う際の大きなネックになるのである。LCDを撮影の際に使用できなくなっているのは,電池の消耗のことが配慮されていたのかもしれない。
 もう1つ指摘したいのは,記録メディアの問題。信頼性にやや懸念があるスマートメディアしか使えなかったことである。また,対応していたスマートメディアの容量の上限は8MB。のちに,メーカーに改造を依頼することで32MBのスマートメディアに対応させることができるようになったが,その改造を受けても16MBのスマートメディアは使えないという。そうなると,とりあえずは8MBのスマートメディアを使うしかない。
 メガピクセル機であるオリンパスC-1400Lで得られる画像は,もっとも高画質のモードで1カットあたり1MB弱である。8MBのスマートメディアでは,記録できる画像は8〜9カット程度。ふつうのフィルムでも24カットくらい撮影できるのがあたりまえ。フィルムよりもメディアの交換を頻繁におこなわねばならないようでは,ディジタルカメラの魅力が薄れてしまう。
 なお,32MBのスマートメディアへの対応改造は,結局,依頼しなかった。

その後,オリンパスC-960zoomというコンパクトカメラ型のディジタルカメラを譲り受けた。撮像素子が130万画素のもので,記録メディアがスマートメディアである。オリンパスC-1400Lとは違い,LCDに映った画像を見ながら撮影することができる。そのような撮り方をすると,コンパクトディジタルカメラにはパララクスの影響を受けない撮影が可能であることを,あらためて思い知る。接写にも好都合だ。中途半端な一眼レフカメラであるC-1400Lよりも,お手軽な撮影には適している。これはもっぱら,ウェブページでカメラを紹介するための画像の作成に使うことになった。
 そのころから市場に登場するディジタルカメラは,撮像素子の画素数が小刻みに増加するというモデルチェンジが頻繁におこなわれるようになっていた。そんな新製品の動向を追いかける気も完全に失せてしまい,ディジタルカメラという製品そのものに対する興味も消え去ってしまっていたものである。多少の改良があったところで,どうせ使いものにはならない。自分の用途には,これまでの機種で十分である,という具合。

ディジタルカメラにふたたび目を向けたのは,仕事にも使うためにディジタル一眼レフカメラの購入を決めたときであった。ディジタル一眼レフカメラも,撮像素子の画素数が小刻みに増加するというモデルチェンジを重ねており,製品の陳腐化が尋常なく速いと感じる状況であったが,今すぐ使いたいという状況があったため,すなおにニコンD70様をお迎えしたものである(2004年12月30日の日記を参照)。
 ニコンD70様は,私にとってはじめて,記録メディアがCFカードであり,専用充電池を使うディジタルカメラであった。そう,リコーDC-3も,オリンパスC-1400L,C-960zoomも,いずれも電源は単3型電池4本である。扱いは少々面倒であるが,電池がいつまでも入手できるという安心感の高い仕様である。
 ニコンD70様を使ってみて,専用充電池の扱いやすさを思い知ることになった。オリンパスC-1400LやC-960zoomなど,もはや使う気になるはずもない。

Nikon D70

その後,500万画素という撮像素子をもつディジタルカメラ機能を内蔵した携帯電話を使うようになってから(2007年12月09日の日記を参照)は,コンパクトディジタルカメラに対する関心は,完全に消滅してしまったのであった。


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