撮影日記


2009年07月09日(木) 天気:くもり

「Sakura」フィルムの謎

マルシンカメラのジャンクコーナーで救出したセミレオタックス(2009年7月4日の日記を参照)は,蛇腹が大きく破れていた。そこで,コレレやペルレと同じようにして,蛇腹をつくりなおすことにした。
 コレレとペルレは,レンズボードを支えるタスキやベッド部などの形式はまったく異なるが,レンズと蛇腹の接続部分や,フィルム側の蛇腹を取りつけるスペースなどの大きさは,ほぼ同じようなものであった。そのため,これら2機種については,蛇腹の型紙を共用することができた(2009年6月29日の日記を参照)。
 ところが,コレレやペルレと並べてみると,セミレオタックスは,明らかに幅が小さい。よく観察してみると,フィルム側の蛇腹を取りつけるスペースがかなり狭くなっている。その差は1cmたらずのものだが,それだけでもカメラ全体のコンパクト化に大きな貢献を果たしているようなのである。
 ともあれ,必要な蛇腹の寸法を考えなおさなくてはならない。

ペルレと並べると,セミレオタックスのコンパクトさがわかる。

まずは,蛇腹を取り去る。取り去った蛇腹を参考に,寸法を修正した展開図を作成する。ペルレやコレレとくらべるとかなりコンパクトに感じられるので,蛇腹のサイズにあまりゆとりをもたせることはできそうにない。いったん作成した蛇腹の型紙を折って組み立て,セミレオタックスにあてがいながら,ぎりぎりまで長さ等を切りつめるなどして微調整をおこなった。
 型紙ができあがったら,ペルレのときと同じように,内側の面に製本テープを貼って黒いアクリル絵の具を塗り重ね,外側の面には革を貼ることにする。今日こそは,黒い革を購入することにしよう。

セミレオタックス用に作成した蛇腹の型紙。

そして,東急ハンズ(広島)を訪れた。
 革製品(ソファなど)の補修のための,合成皮革製シートなるものが売られていた。裏の紙を剥がせば,そのまま貼りつけることができる便利そうなものである。厚さも薄そうで,蛇腹の素材としてふさわしいように思われる。色もさまざまなバリエーションが用意されている。
 しかし,店頭にあったものは少々サイズが小さいのである。表示によれば13cm×20cmとのこと。蛇腹の型紙に貼るには,少し長さが足りないのである。残念だが,今回はこれの使用を見送ることにする。しかし,ベスト半裁判のベビーパールの蛇腹を補修するときには,これがちょうどよい大きさかもしれない。そのときまで,忘れないようにしておこう。

東急ハンズにきたついでに,さまざまなフロアを見て回った。
 相変わらず,Lomographyのトイカメラが並べられたコーナーがある(2005年4月15日の日記も参照)。目立つ位置に並べられていたのは,「HOLGA」である。「HOLGA」は120フィルムを使うトイカメラだ。120フィルムは,プロカメラマンやマニア等にとっては一般的なフィルムだが,そうではない一般の消費者にとっては,現在ではあまりなじみのないものになっている。そんな人たちの便宜をはかったのだろうか,「HOLGA」の横には,120フィルムもちゃんと並べられているのである。
 値札に「モノクロフィルム」と書かれていたフィルムは,紫色っぽいパッケージのものだった。モノクロフィルムとしては,見慣れないパッケージだ。東急ハンズでトイカメラ用に売られているのだから,東欧かどこかのマイナーな商品なのだろうか?と思ってよく見ると,KODAKのPORTRA400VCである。おい,これはカラーネガフィルムだろ(笑)。その隣をみれば,値札に「カラーネガフィルム」と書いてある。そこに並んでいるのは,KODAKのTMAXだ。
 なんのことはない。値札と商品が入れ替わっているのであった(笑)。よく知らない消費者が,間違えて買っていったらどうするつもりなんだろう?ま,いいか。トイカメラ遊びには,むしろ入れ替わっているほうが好都合だったりするのかも???

トイカメラ用のフィルムといえば,110フィルムを忘れてはいけない。
 一時は,「ポケットカメラ」として大流行した規格のフィルムであるが,その後,カメラの小型化や自動化が進展して,画面サイズの小さい110フィルムを使う意義が薄れ,もはやその存在は風前のともし火である。しかし東急ハンズには,120フィルムの隣でまだしっかりと,KODAKの110フィルムが売られているのである。
 110フィルムの上には,「イキモノシリーズ」とよばれる,110フィルムを使用するトイカメラが並べられている。「イキモノシリーズ」というよりも,「ハリネズミカメラ」といった方が,ピンとくる人も多いかもしれない(2005年7月15日の日記を参照)。ところで,「イキモノシリーズ」には,価格の異なる2種類のパッケージがあった。なにかモデルチェンジなどされているのだろうか?よく見れば,価格の高いほうのパッケージには,フィルムがセットされているだけのことだ。そのフィルムは,やはりKODAKのものだろうかと覗いてみるが,箱が黄色くない。オレンジ色っぽい赤い箱である。そしてその箱には,「Sakura」という文字が印刷されている。
 「サクラ」フィルムというと,コニカのフィルムが使っていた名称だ。
 昭和初期にはすでに「さくらフィルム」という名称で,何種類かのフィルムが発売されていた。萩本欽一氏の出演したテレビコマーシャルで有名な「サクラカラー」として「サクラ」フィルムの名称が記憶に焼きついている人も多いだろう。まさにそんな「Sakura」フィルムがセットされていたのである。
 ひそかに海外市場などで,コニカミノルタ社はフィルムの供給を続けているのだろうか?あるいは,「Sakura」フィルムのブランド名をどこかの企業に売ったのだろうか?あるいは,どこかの企業が「Sakura」フィルムの名称を勝手に名乗っているのだろうか?などということが気になる今夜であった。

気になりながらも,セミレオタックスの蛇腹はなんとか完成した。


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