撮影日記


2009年06月20日(土) 天気:晴ときどき曇

コンパクトな中判一眼レフカメラ
ピロートスーパー

昨年,ゼンザブロニカETRS (ZENZA BRONICA ETRS)とマミヤRB67 (Mamiya RB67 Professional S)という2種類の中判一眼レフカメラを入手した。いつも中判での撮影に使っていたマミヤユニバーサルプレス (Mamiya Universal Press)にくらべると,一眼レフカメラというスタイルの扱いやすさを,あらためて実感することになる。
 マミヤRB67は,6×7判という大きなサイズの原版が得られるが,カメラもレンズも,かなり大きいものになる。ゼンザブロニカETRSのようなセミ判一眼レフカメラがいかにコンパクトであるか,思い知ることになる。
 ところで,中判一眼レフカメラでもっともコンパクトなものの1つとしてあげられるものに,KW社のピロート・スーパー(PILOT Super)というカメラがある。

ピロート・スーパー(KW PILOT Super)

ピロート・スーパーのシャッターは,フォーカルプレーンシャッターでもなければ,レンズシャッターでもない。ミラーを利用したものとなっている。シャッター速度が1/20,1/50,1/100,1/200秒の4段階しかないのは,重いミラーを動かさなければならないことからくる制約だろうか。
 このカメラには,Pilotar 7.5cm F4.5というレンズがねじこまれている。少し明るいF2.9やF3.5のレンズがつけられたモデルもあったようで,レンズ交換できるしくみになっているのは間違いない。ただし,交換レンズは発売されなかったらしい。

このピロート・スーパーには,Pilotar 7.5cm F4.5が装着されている。

一眼レフカメラの特徴は,撮影したレンズで見えるものが,そのままファインダーに写ることである。そのかわり,ファインダーの品質がよくないと,像が暗くてピント合わせが難しかったり,写る範囲が十分に見えなかったりするなどの欠点が目立つようになる。
 このピロート・スーパーは,装着されているレンズがF4.5という暗いものである。したがって,ファインダーに見える像もたいへん暗い。フードを立てて,ルーペを起こさなければ,ピント調整が難しい状況である。
 ピロート・スーパーでの撮影手順は次のようになる。まず,シャッターをチャージしてミラーを下げる。次に絞りを開放にする。フードを立ててルーペをセットし,ピントを調整する。フードやルーペをたたむ。絞りを撮影したい値に合わせ,シャッター速度を決める。ファインダーを見て構図を決める。シャッターレリーズをおこなう。赤窓を開けて,フィルムを送る。・・・というものだ。
 一眼レフカメラは速写性がある,という印象をもっていると,完全に裏切られることになるだろう(笑)。そういう事情で,このカメラの出番はほとんどなかったのである。

フードを立ててルーペをセットしなければ,ピント合わせが難しい。

このカメラを持ち出したくなったのは,ゼンザブロニカETRSやマミヤRB67に飽きたから,というわけではない。No.1ポケットコダックジュニア(No.1 Pocket Kodak Junior)の試し撮りだけでは,なんとなく物足りないと感じたからである。No.1ポケットコダックジュニアは,どちらかというと遠景の解像力を確認したいような撮り方をした(2009年6月19日の日記を参照)が,ピロート・スーパーはきちんとピント合わせができる一眼レフカメラの特徴を生かすべく,比較的近距離の被写体を狙うことにした。
 しかし,動くものを撮る場合には,ピロート・スーパーは不向きかもしれない。

PILOT Super, Pilotar 7.5cm F4.5, FUJI SuperG100

だから,止まったところを狙って撮るわけだが,どうもピントが合っていない。この状況で止まっている時間は,ピロートスーパーでの撮影手順にとっては,決して長いものではない。止まっているとはいえ,焦ったことで,ピントをあわせそこなってしまったのだろうか。


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