撮影日記


2009年06月14日(日) 天気:はれ

エルネマン・ヘーグ0(ゼロ)

昨日(2009年6月13日)の日記のつづき。

梅田のマルシンカメラのジャンクコーナーで見かけた,小さな黒い箱。片面にある蓋を開くと,そこはピントグラスだった。これは,カメラであろうか?それとも,ただのピントグラスであろうか?
 その謎を解明するには,反対側にある蓋を開かねばならない。しかしそこには,指をかけるための突起やくぼみ等が存在しない。
 こういうときは,どこかに開くためのレバーやボタンがあるはずだ。箱の周囲を触ってみると,なにやらボタンが隠れているような感触のする場所がある。
 ここかな?
 押してみると,その蓋がパカッと開いたのだ。

奥にひっこんでいるレンズボードをそおっと引き出してみる。シャッターをT(タイム)にしてレンズを開放し,ピントグラスを覗けば,そこにはちゃんと像が写っている。これは,まぎれもなく乾板を使用するハンドカメラである。

ベッド部に刻まれている文字によれば,このカメラは「エルネマン」(ERNEMANN)社の「ヘーグ0」(heag 0)というもののようだ。エルネマン社といえば,後に合併してツァイス・イコン社を結成する会社の1つ。ということは,すくなくとも1926年以前のカメラであるということか。
 このカメラの製造時期はわからないが,おおよそ80年前から90年前のカメラである可能性があるわけだ。そのわりには外観の傷みは目立たない。八百富写真機店のディアモール店にあった,およそ50年前のマミヤシックスよりも,ずっときれいである。

シャッターは,エバーセット型(チャージの操作が必要なく,シャッターレリーズレバーを操作すればいつでも露光ができる)のもので,T(タイム),B(バルブ)のほか,1/100,1/50,1/25秒の3段階。ちなみに,1/25秒は少々動作があやしい(途中で止まる)が,1/100秒や1/50秒での撮影はできそうだ。
 ピントグラスの大きさをはかってみると,およそ6cm×9cmある。大名刺判とよばれるサイズの乾板を使うことになるのだろう。ピント調整は,ピントグラスでおこなうこともできるが,ベッド部に距離目盛が刻まれており,目測での撮影も可能になる。組立暗箱よりも手軽に撮ることができるしくみこそが,この種のカメラの特徴である。
 レンズは,「Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8」というもの。分解していないので詳細はわからないが,3枚玉レンズのように見える。

このカメラを救出するのに3,200円も支払ってしまったので,ミノルタSR-1もペトリも,AF RIKENON 50mm F2も,そしてマミヤシックス「主婦の友」も,今回はすべて救出を見送ることにしたのであった。


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