撮影日記


2009年05月25日(月) 天気:晴

マミヤ35S-IIの謎

先日,マルシンカメラのジャンクコーナーから「マミヤ35S-II F2.8」を救出した。以前に入手していた「マミヤ35S-II F1.9」とは,きょうだいの関係にあるといえるカメラである。きょうだいであれば,この2台はよく似ているはず。
 しかし,よく見ると,その姿は微妙に異なる。2台を並べて観察してみると,ファインダー窓の左右についている「段」が異なることに気がつくだろう。「マミヤ35S-II F2.8」は2段になっているが,「マミヤ35S-II F1.9」は1段になっている。

そのほか,距離計窓の大きさが微妙に違うようにも見える。
 なお,この画像で巻き戻しクランクが異なっているのは,無関係である。入手した「マミヤ35S-II F2.8」では巻き戻しクランクが失われていたため,手もとにあった不動の「ニコノスIV-A」の巻き戻しクランクを移植しているのである。本来は「マミヤ35S-II F1.9」についているものと同じ巻き戻しクランクがついていたはずである。

ともあれ,外見上のもっとも大きな差は,ファインダー窓の左右についている「段」が,「1段」か「2段」かという点になる。
 ここで,マミヤデジタルイメージング社のサイト「マミヤカメラ博物館」(*1)に掲載された画像を見てみよう。すると,「マミヤ35S-II F2.8」(*2)も「マミヤ35S-II F1.9」(*3)も,どちらも「2段」になっている。
 私の手もとにある「マミヤ35S-II F2.8」は,「マミヤ35S-II F2.8」で間違いないだろう。しかし,「マミヤ35S-II F1.9」はどうなのだろうか?
 ここで,考えられることは2つある。
 1つは,私が「マミヤ35S-II F1.9」だと思っているカメラは,じつは別の機種だ,という可能性である。
 もう1つは,「マミヤ35S-II」には,前期型と後期型などのバリエーションが存在する,という可能性である。

「マミヤカメラ博物館」を,もう少し調べてみよう。
 「マミヤ35S-II」の外見上の特徴は,距離計が内蔵されていることと,ファインダーが採光式になっていることである。また,露出計が内蔵されていないため,その受光部がないことも,外見上の特徴となる。
 そのような特徴を満たすカメラが,「マミヤ35S-II」のほかに,もう1つあった。「マミヤ・クラウン」(*4)というものである。しかし,「マミヤ・クラウン」に搭載されたレンズは,Mamiya-sekor FC 48mm F2.8で,F1.9のレンズを搭載したモデルは記載されていない。もし,私の手もとにあるカメラが「マミヤ35S-II F1.9」ではなく「マミヤ・クラウン」であるならば,マミヤデジタルイメージング社にも記録されていない,F1.9レンズ付きの「マミヤ・クラウン」ということになってしまう。
 しかしながら「マミヤカメラ博物館」に記載されている「マミヤ35S-II F1.9」の特徴をたしかめてみると,たとえば「パララクス自動補正」などの特徴を満たしているため,やはり私の手もとにあるカメラは「マミヤ・クラウン」ではなく,「マミヤ35S-II F1.9」と考えてよさそうである。なお,巻き戻しボタンについては「マミヤカメラ博物館」の記載内容と一致しないが,それは「マミヤ35S-II F2.8」でも同じことなので,この点については「マミヤカメラ博物館」の記載内容に誤りが含まれているものと考えられる。
 さらに「マミヤカメラ博物館」の「マミヤ・クラウン」の画像をよく見ると,ファインダー部の左右の「段」は「1段」になっていて共通するが,ファインダー部そのものの形状は,「マミヤ35S-II」とは異なっている。また,フィルムカウンタの形状も異なっている。

結論。
 私の手もとにあるカメラは,「マミヤ35S-II F1.9」である。「マミヤ・クラウン」ではない。

ということは,私の手もとにある「マミヤ35S-II F1.9」は,なぜファインダーの左右にある「段」が「1段」になっているのだろうか。「マミヤ・クラウン」は「マミヤ35S-II」よりも先に発売されている。「マミヤ・クラウン」のトップカバーが部品として流用されたのであれば,「1段」のボディが「前期型」で,「2段」のボディが「後期型」ということになりそうである。
 ところが私の手もとにある「マミヤ35S-II F2.8」(2段)と「マミヤ35S-II F1.9」(1段)のシリアルナンバーを見てみると,それぞれ,No.1169000とNo.1195262となっており,「1段」のボディの方が,番号が大きい。ということは,「2段」のボディが「前期型」で,「1段」のボディが後期型という可能性も出てくる。

当時の広告等には,どんな形状のボディが掲載されているだろうか?
 手もとにある雑誌等のなかでは,「サンケイカメラ」(1959年9月号)と日本カメラショー「カメラ総合カタログ」(1960年)に,「マミヤ35S-II」の広告を見つけることができた。そこに掲載されている写真を見ると,いずれも「2段」のボディになっている。
 これは,「謎」である。
 今後,カメラ店の店頭等で「マミヤ35S-II」を見かけたら,ボディの形状に気をつけてみたいと思う。

*1 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/top3.htm/

*2 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/saishu-page/1950/mamiya35-s-2-f28.htm

*3 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/saishu-page/1950/mamiya35-s-2-f19.htm

*4 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/saishu-page/1950/mamiya35-s-crown.htm

おねがい

みなさまのお手もとに「マミヤ35S-II」がありましたら,機種(「F2.8」か「F1.9」か),ボディの特徴(「2段」ボディか「1段」ボディか),シリアルナンバーをお知らせください。投稿はメール(または,「新・マミヤプレスファンクラブ掲示板ver.3」)をご利用ください。お知らせいただいた情報をもとに,この日記に加筆したり,「マミヤプレスファンクラブ」の記事を作成したりしたいと考えています。ご協力,よろしくお願いします。

※2010年02月17日の日記で,あたらしく追加された情報があります。

※2011年10月15日の日記で,あたらしく追加された情報があります。


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