撮影日記


2009年05月10日(日) 天気:はれ

ヒメヒオウギの花

大切に育てようとした花を,不用意に枯らしてしまうことがある。
 たとえば,サギソウ。湿地に生えるランの一種で,鳥のサギが飛んでいるような形の花を咲かせる。ミズゴケ等を利用して湿り気を保つように植える必要があり,冬に乾燥させてしまうとカビが生えやすく,夏が暑すぎると球根が腐りやすいため,油断すると枯らしてしまう。残念ながら,今は手もとに1株も残っていない。
 逆に,とくに手をかけなくても,いつのまにか蔓延(はびこ)ってしまう花もある。たとえばこれ。ヒメヒオウギという花だ。

Nikon D70, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

ヒメヒオウギは,アヤメ科の花である。
 春になると,薄くてやわらかそうな葉がそろってたくさん出てくる。そこにヒメヒオウギを植えていることを忘れていたら,雑草だと思って抜いてしまいそうになる,そんな葉が出てくるのだ。その葉がプランターにあふれんばかりになったころ,花茎が伸びてきてその先に可憐な花をつける。その色は,全面にピンクがかったものもあれば,白いものもある。

Nikon D70, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S
Nikon D70, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

ヒメヒオウギは,宿根性の植物。球根の状態で冬を過ごし,春になると葉が出てきて花を咲かせる。
 種もよくつく。そして,その種からも,よく芽が出てくる。つまり,プランターにまばらに植えておいたはずのヒメヒオウギが,翌年も芽を出すのは想定の範囲内であるが,こぼれた種もいつのまにか発芽し,あきらかに株が増えているのである。これが2〜3年もたてば,プランターからあふれんばかりの葉が出てくることになるのである。
 しかも。
 それだけ密生しても,かわらず旺盛に花を咲かせて種をつける。花は可憐だから,これが増えることは大歓迎。かくしていつのまにか増えてしまうヒメヒオウギなのであった。

サギソウとヒメヒオウギには,1つの共通点がある。
 どちらも,長く伸びた細い花茎の先に花をつける。花の大きさは,花茎の細さにくらべるとかなり大きい。つまり,ちょっと風が吹こうものなら,いつまでもゆらゆらゆらりと止まらない。
 たくさん咲くので花そのものは珍しくないのであるが,実に撮影しにくい花なのである(笑)。


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