撮影日記


2009年04月11日(土) 天気:はれ

サクラをステレオカメラで撮る

「楠木の大雁木」のサクラをはじめ,広島市内のサクラはすっかり見ごろを過ぎてしまった。まだ花の残る木もあるが,すでに美しい新緑も楽しめる状態である。また,散った花びらで,美しく敷き詰められた地面も見られる。
 「楠木の大雁木」のサクラを撮ったKodak Stereo Cameraには,まだフィルムが半分くらい残っている。今日は,残ったフィルムで,それらのようすを撮ることにした。

ステレオカメラで撮るならば,立体感が楽しめるような場所がいい。立体感が楽しめるのは,いろいろな被写体が前後に重なるように見えるようになっている場合だ。たとえば,サクラ並木などが都合がいい。あと,神社やお寺などで,燈篭が並んでいるような場所もおもしろい。今年まだ訪れていない三滝寺で撮ることも考えたが,今日は,あまり人が訪れないような,町の中にある小さな神社で撮ってみることにした。
 そんな神社は,決して広くはないが,ほかに人の姿がほとんどないので短時間でさっさとフィルムを消費してしまいたいときには,好都合である。さっそく,石燈篭とサクラの組み合わせを撮ってみよう。

KODAK STEREO CAMERA, KODAK ANASTON LENS 35mm F3.5, 400UC

今日は風がある。風が吹くと,花びらがひらひらと舞い降りてくることがある。それがうまく写りこんでくれるとうれしいのだが,なかなか都合よく風が吹いてくれないし,風が吹けば必ず花びらが舞い降りてくるというわけでもない。立体視したときに,花びらが宙に浮いているように見えれば,それこそステレオカメラでなければ表現できない空間を記録したことになるのだから,それはぜひとも写してみたいものである。

KODAK STEREO CAMERA, KODAK ANASTON LENS 35mm F3.5, 400UC

遠くに舞う花びらを眺めるのもいいのだが,自分の頭の上から大量の花びらを浴びてみたいものである。
 時刻はお昼過ぎ。太陽はかなり高い位置。不用意に見上げると,太陽光の直射を受けて,うまく写らない。サクラが見上げられて,鳥居などが適度に前後に配置され,かつまともな逆光を避けられる位置を見つけ,そこにしゃがみこんで風を待つ。
 待つのだが,いつまでたってもここの花びらが散らない。そんな写真を撮るときには,予定がなにもないようなときにまるまる1日,そこに腰を据えるつもりで構えておかなければならないのだろう。午後からの用事の時刻が刻々と迫るなか,しびれを切らしてただきれいなだけの写真を撮って妥協する。

KODAK STEREO CAMERA, KODAK ANASTON LENS 35mm F3.5, 400UC

たぶんサクラをきちんと撮るのは,今年は今日が最後だろう。そう考えて,地面に散った花びらに目を向けた。低いアングルから撮れば,それなりに奥行きが感じられないかと期待したのだが,その考えは甘かった。
 ステレオ写真には,やはりなにか「余計なもの」が写りこんでいなければ,立体感がなかなか感じられないものである。

KODAK STEREO CAMERA, KODAK ANASTON LENS 35mm F3.5, 400UC

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