撮影日記


2009年03月05日(木) 天気:晴のち雨

リコーAD-1をきれいにする

リコー「ADー1」(RICOH AD-1)とリコー「A-2」(RICOH A-2)は,リコーでは最後の,ゼンマイによる自動巻き上げ機構を搭載したカメラである。RICOH A-2は,RICOH AD-1から日付写しこみ機構を省略した廉価版であるが,RICOH AD-1の翌年に発売されているから,厳密に言えばRICOH A-2が,リコーで最後のゼンマイ式ワインダー搭載カメラということになる。

入手したRICOH AD-1は,ジャンク品であった(2007年11月7日の日記を参照)。
 問題となる状況は,裏蓋のモルトが完全に崩壊していることと,レンズにかなりのカビが生じていることである。一方,露出計やシャッターは動作しているようである。
 RICOH AD-1のレンズは,3群4枚構成。
 レンズを観察すると,シャッターより前群のレンズにも,後群のレンズにも,いずれにも表裏両面にカビが認められる。また,シャッター速度に「B」がない。そのため,レンズを前からも後ろからもはずさなければならなくなりそうだ。
 これは少々,面倒である。
 その結果,これまで1年以上放置してきたわけだが,そろそろ手をつけなければバチがあたるだろう。

まずは,すなおに前からレンズをはずしてみよう。
 レンズのまわりのリングは,カニ目回しで簡単にはずせる。レンズの前玉は,凹み部分にレバーがはまることで位置が決められている。これは再組立ての際に,位置を決めるのが楽で,ありがたい。これをはずせば,前玉は表も裏も,簡単に清掃ができる。また,前玉をはずしたことにより,2枚目のレンズの表も簡単に清掃ができる。

しかし,大規模なカビが,2枚目のレンズの裏側にも認められる。2枚目のレンズをはずして裏側を清掃したいところだが,このあたりの機構は少々複雑に見えるので,あまり手をつけたくない。とりあえずここで,勇気ある撤退をしよう。

つづいて,裏蓋を開けて,後群レンズをながめてみる。こちらもカニ目回しで簡単にはずすことができた。取り出したレンズは,2枚のレンズが貼りあわされていることがあからさまにわかるものであった。
 そう,RICOH AD-1のレンズは,まさにテッサー型のようである。
 後群レンズも,取りはずしたことによって,表も裏も簡単に清掃ができた。あとは,2枚目のレンズの裏側だけとなった。
 ここで,もしRICOH AD-1に「B(バルブ)」があれば,シャッターを開放にできるので,綿棒等を用いて2枚目のレンズの裏側を清掃することが可能になる。しかし,RICOH AD-1には「B」がない。また,RICOH AD-1のシャッター速度はプログラム式の自動調整で,しかも低速側は1/30秒までである。

こんなときは,少々乱暴だが,無理やり綿棒をつっこむしかない。
 シャッター羽根の上に,レンズリキッドを染みこませた綿棒を立てる。そして,シャッターレリーズ動作をおこなう。
 一瞬,シャッターが開く。
 その瞬間,綿棒は落ちる。綿棒のために,シャッター羽根は完全に閉じることができない。そのまま,ぐりぐりとレンズを清掃する。
 こんどは綿棒の乾いた方を下にして,同じようにシャッターを開き,清掃する。

このようなやり方は,やはり乱暴なので,決しておすすめはできない。きちんとレンズをはずして清掃するのが正しいやり方だ。よい子は決して,まねをしないこと。
 ともあれこれで,RICOH AD-1は,すっきりした状態になった。機会をみつけてぼちぼち,試し撮りなどやってみようと思う。


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