撮影日記


2009年02月22日(日) 天気:雨

鯛焼,焼いた

ときどき,無性に「あんこ」を食べたくなる。
 そう,あずきのあんこである。
 別に,高級品でなくてもいい。自家製でなくてもいい。スーパーマーケット等で安価に売られている,缶詰のあんこでも十分である。
 夏なら,かき氷機の出番だ。なにも「宇治金ミルク」にする必要はない。「氷あずき」で,十分である。
 冬なら,あったかい「ぜんざい」もいい。ほくほくの「二重焼」なんかもいい。いや,「二重焼」なら,季節は問わぬ。

いま,「二重焼」という言葉を使ったが,ほかにもいろいろな呼ばれ方があるようだ。たとえば「今川焼」「大判焼」など。どれがもっとも標準的な呼び名なのかはよく知らないが,広辞苑(第四版)では,「今川焼」だけが掲載されている。「今川焼」の説明には,「(型に)水で溶いた小麦粉を注ぎ、中に餡を入れて焼いた菓子」とある。
 焼くときの型に,魚の「鯛」の姿をしたものを用いれば,それは「鯛焼」となる。
 「鯛焼」は,縁日の屋台などでよく見かけるが,そうでないときにいざ買おうと思うと,意外と見つからない。ちなみに,広島付近では,加計の「よしお」というお店の「鯛焼」がおいしいと思う。ただ,加計は遠い。なにかのついででもなければ,なかなかお店を訪れる気にはならない。お店は道幅に余裕のないメインストリートに面しており,そこで「鯛焼」を買い求める人も少なくないことから,いつも路上駐車がされている印象だ。だからそこに駐車する余地もなく,結局,なかなか買う機会が得られないのである。
 なお,「鯛焼,焼いた」は,左から読んでも,右から読んでも,「たいやきやいた」となる。

最近,クルマでも行きやすい近い場所に,「鯛焼」専門店が開店したという話を聞いた。チェーン店のようで,最近,店舗数が増えているらしい(広島市内中心部にも開店していたらしいのだが,それには気がついていなかった)。
 少々,雨が激しいが,ホームセンターに行く用事があったので,そのついでに寄ってみることにした。
 お店の名前は「木村家」。その場所はわかりやすかったが,まあ,雨だというのに多くの人が並んでいる。お店の前に駐車スペースもあるのだが,その道沿いに駐車しているクルマも多く,お店に入ることができる状態ではない。

ということで,先にホームセンターでの用事を済ませることにし,あらためてその「鯛焼」のお店に立ち寄ることになった。まだ雨は激しく,かなり少なくなったとは言え,まだ並んでいる人がいる。

「鯛焼」というと,「あんこ」が入っているのが一般的だ。かつて大ヒットした「およげ!たいやきくん」という歌でも,そのなかには「あんこ」が重く詰まっていることが語られている。
 ところが木村家では,「あんこ」のほかに,「カスタード」や「カレー」など,いくつかのバリエーションが用意されている。「カレー」の意外性はおおいに興味がわくものの,やはり基本は「あんこ」だ。「あんこ」と,せっかくだから「カスタード」を購入することにした。

さて,実際に食べてみての感想。
 正直言って,個人的には「いまひとつ」である。
 「おいしくない」わけではない。甘さは控えめで,食べようと思えば,いくらでも食べられる。だから,「おいしい」と言ってもいいと思う。ただ,なんとなく好きになれない。強いて言えば,甘さが「カタイ」と感じる,となるだろうか。
 まあたぶん,これは「好みの問題」であろう。
 何年も前のこと。横川で,開店したばかりのラーメン店に食べに行ったことがある。そのラーメンは,「二度と食べるもんか」と感じられるようなものだった。しかし,そのお店はいまでも営業しているし,最近では「あそこはおいしい」という評判も耳にする。「好みの問題」のほかに,しばらく営業しているうちにそのお店の味が安定し,さらにおいしくなっていく,そういう面もあるのだろう。
 木村家の「鯛焼」も,また日をおいて食べてみれば,違った面が見えてくるだろう。行列ができるくらいにお客さんが多かったことが,なんらかの影響を与えている可能性もある。
 なお,「カスタード」の方は,少々甘味が強く感じられる。これはこれで,おいしくできているとは思うし,甘いものが好きな人なら歓迎する味だとは思う。だが,こんなものはもはや「鯛焼」ではない。「鯛焼」は,やはり「あんこ」でなければならない。私はそう思う。

ということで,私はやっぱり,「御座候(ござそうろう)」(*1)が好きだ(笑)。
 木村家の「鯛焼」にくらべれば,少々甘味が強いかもしれない。しかし,「御座候」の甘さは「ヤワラカイ」と感じられ,やはりいくらでも食べられるのである。

私が広島に住み始めたころ,広島に「御座候」のお店はなかった(ように思う)。
 そのころいわゆるデパ地下で,別のお店の「二重焼」を買ってみたものの,私の舌には「失望」しか残らなかった。それから数年後。「御座候」のお店を見つけた私は,広島で暮らしていく自信を持ったのである(少々,表現を誇張してみた)。
 もしかしたら。
 長年,「御座候」を食べ続けてきた私の舌は,すっかり「御座候」の味に洗脳されてしまっているのかもしれない。いや,この場合は,「洗脳」ではなく「洗舌」なのか?(なんて読めばいいんだ?笑)

「御座候」は,最近,値上げされた。1個73円だったのが,1個80円になったのである。それでも,木村家の「鯛焼」よりずっと安いということも,私のなかで「御座候」のポイントが高いことの立派な理由になっているのだろう。
 うん,そうだ。きっとそうに,相違ない。

*1 http://www.gozasoro.co.jp/


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