撮影日記


2009年02月11日(水) 天気:晴ときどき曇

ウエストンマスターで測光する(2)

今日もちょっといい天気である。
 しかし,空は妙にかすんでいる。そろそろ黄砂のシーズンのようだ。黄砂の正体は,アジア大陸の砂漠から偏西風に乗って飛ばされてくる,とても細かい砂粒である。ただの砂粒ならともかくも,途中でたっぷりと汚染物質が付着しているかもしれない。そうでないとしても,クルマや洗濯物にひそかにびっしりとこびりつくのは,たいへん困りものである。黄砂の後に雨でも降ろうものならば,まさしく泥がこびりついたようになってしまう。
 もし,こんな日の直前に洗車をされた方がいらっしゃれば,とりあえず「ご苦労さまでした」と申しあげる。黄砂の害について,中国政府に謝罪と賠償を求めるわけにもいかないだろうから,じっと耐えるしかないところだろうか(笑)。

さて,ウエストンマスターといっしょに使うカメラとして,今日はArgus C3を交換レンズともどもひっぱりだそうと考えていたのだが,積み重ねた箱の下のほうに入っているので,少々おっくうである。
 そんなとき,Exakta Varex VXにフィルムがまだ入っていることに気がついてしまった。しかし,いつ,なんのフィルムを装填したのか,記憶がない。とりあえず使い切ってしまえ!と使ってみると,ほんの2コマほどでフィルムが終わってしまった。出てきたフィルムは,ILFORD HP-5である。ああそうだ,ヤシカの「CONTAX RTS」に装填していたが,途中で抜いて,EXAKTA Varex VXに入れかえたんだったっけ。あ,でも感度ISO100のつもりで露光したぞ。ま,いいか。

あらためてDNP CENTURIA 100をEXAKTA Varex VXに装填し,平和公園に向かう。
 平和公園では,昨年秋から公衆無線LANのサービスが提供されている(*1)。今日は,SONYのCLIE PEG-NX60というPDAを久しぶりに持ち出して,平和公園の公衆無線LANが利用できるかどうか試してみようと思った。バッテリがかなり弱っているが,無線LANの接続を確認することくらいはできるだろう。
 最初にメールアドレス等を登録するのが少々面倒ではあるが,設定自体はとくに問題なくできる。ただ,「(平和記念公園の)概ね全域」がサービスエリアということになっているが,平和記念資料館にかなり近づかないと接続できなかったぞ。まあ,CLIE用の無線LANアダプタの感度が悪いのかもしれない。

先週は,順光の直射があるところで測光したので(2009年2月7日の日記を参照),今日は日陰での測光を試みる。
 「原爆の子の像」のまわりには,多数の折り鶴が供えられている。その由来はよく知られていると思うので,ここではふれない。詳細は,広島市のサイトをご参照いただきたい(*2)。
 「原爆の子の像」を取り囲むように,折り鶴を供える台が並んでいる。そのうち1つが開いていて,「今日はここに供えてください」という意味の案内板がたてられている。そのなかは,ちょうどよい日陰だ。ちょっと失礼して,WESTON Master-II model735で測光させていただくことにする。

WESTON Master-II model735での測光値は,1/30秒でF4.5くらいを示す。

このように薄暗い状況では,ウエストンマスターの受光部を覆う穴の開いた板を開いて測光する。そうすることで,受光部のセレン光電池がより多くの光を受けることができるようになる。
 また同時に,指針部のパネルが切り替わり,上の画像のように指針は「3.2」を示す。このときの露出をダイアルから読み取れば,おおよそ1/30秒でF4.5くらいになる。

ここをSEKONIC L-328で測光すると,1/30秒でF4と少し,という値を示した。

SEKONIC DIGILITE F L-328での測光値は,1/30秒でF4と少しを示す。

なお,このウエストンマスターの感度は100に設定してある。日なたでも日陰でも,同様に感度ISO100に設定した現代の露出計とほぼ同じ値を示してくれた。
 このウエストンマスターは,どうやら信用してもよさそうである。
 いや,この時代のウエストンマスターの感度表示は,ASA (ISO)とは異なっているはずなので,読み取り時に補正が必要になるはずだ。ということは,ちょうど都合よく「ずれている」のであろうか。
 ともあれこうなるとなおさら,ウエストンマスターに似合うカメラはなにか,きちんと考えなければならなくなってきたぞ。

そういえば,先日の日記(2009年2月5日の日記)に,1950年代から1960年代ころのアメリカ製品とソ連製品が仲良くやってくれるとは思えない,ということを書いた。EXAKTA Varex VXは,ソ連と同じ東側国家である東ドイツ製品であるが,とくに問題なく,アメリカ製品であるWESTON Master-II model735と仲良くはたらいてくれた。
 政治的には対立があったとしても,やはり同じ時代の空気を知っているどうしだったということか。
 いや,愛に国境がないように,カメラにも国境なんてないのであろう。

*1 http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1219731765859/index.html

*2 http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1110438305305/index.html


← 前のページ もくじ 次のページ →