撮影日記


2008年08月04日(月) 天気:はれ

RB67のレンズを買う

カメラにはさまざまな形態があるが,やはり一眼レフカメラは万能なスタイルであると感じられる。さまざまな目的に対して,必ずしも「最高」ではないが,かなり「都合がよい」のである。
 たとえば,正確な構図という意味では,一眼レフカメラよりもビューカメラの方が有利だろう。ほとんどの一眼レフカメラは,ファインダーの視野率が100%ではない。フィルムに写る範囲の一部分が,ファインダーでは見えていないのである。フィルム面に直接ピントグラスをおけるビューカメラというスタイルが,正確に構図やピントを得るという意味では,もっとも適しているはずである。ただし,たいていの一眼レフカメラは,ファインダーの視野率が100%でないことを除いて,実用上はまったく問題ない精度で組み立てられているはずだ。
 ピント合わせのやりやすさという面では,二重像合致式距離計連動カメラ(レンジファインダーカメラ)も捨てがたい。とくに,暗い場面での撮影や暗いレンズを使ったときは,ピントグラス上の像が見えにくくなるし,広角レンズを使ったときは被写界深度が深くてピントの山をつかみにくくなる。二重像合致式距離計では,暗い場面でもピントは合わせやすく,広角レンズでも標準レンズでも,同じような感覚でピントを合わせられる。しかし,広角レンズを使う場合など,一眼レフカメラではない距離計連動ファインダーをもったカメラでは,正確な構図はつかみにくい。また,望遠レンズや接写のときの使いやすさは,一眼レフカメラにはかなわない。
 先にも書いたが,ビューカメラは正確な構図や精密なピント合わせが期待できるが,シャッターを切るためにはピントグラスとフィルムホルダを交換する必要があり,速写性において大きく劣る。速写性という面では,視野消失のある一眼レフよりも,レンジファインダーカメラのようなビューファインダーカメラや二眼レフカメラの方がさらに有利となる。
 一眼レフカメラというスタイルは,速写性,構図のつくりやすさ,ピントのあわせやすさなど,どの面をとっても必ずしも「最高」ではないが,十分な性能をもっているということができるのである。

撮った写真を大伸ばしすることを考えれば,フィルムは大きいほど有利である。したがって,ライカ判よりも大きなフィルムを使う,中判一眼レフカメラが,俄然,魅力的に感じられてくるものだ。
 しかし個人的には,中判カメラとしては6×9判が好きなのである。ライカ判と同じ縦横比で,少々長細いフォーマットだ。ところが,6×9判というのは,現在では主流ではないらしい。現在は,用紙の縦横比に近いフォーマットの6×4.5判や6×7判が主流のようである。これらのフォーマットには,各社から数種類の一眼レフカメラがラインアップされているのに対し,6×9判の一眼レフカメラは,かなり古典的なものしかないのが現状である。
 ともあれ,6×9判が好きだから,このフォーマットを手軽に扱える,マミヤプレスをこれまでずっと使ってきた。中判一眼レフカメラに興味がないわけではなかったが,積極的に手を出すには至らなかったということだ。
 この3月に,たまたま格安なZENZA BRONICA ETRSを入手(2008年3月25日の日記を参照)し,それを使ってみて,中判一眼レフカメラにあらためて強い関心がわきおこってきたのである。

6×4.5判一眼レフカメラを使ってみた結果,どうしても,もっと大きな画面の一眼レフカメラを使いたくなってきた。なにしろ,6×4.5判というのは,いつも使っている6×9判に対して所詮「ハーフサイズ」にすぎないのである。これでは物足りない。6×6判一眼レフカメラを使ったとしても,実際にプリントするときに使える部分は,6×4.5判に相当する範囲だけである。だから,6×7判一眼レフカメラを狙いたくなるのだ。6×7判で使うフィルムは,6×6判よりもわずか1cm多いだけである。それでいて,プリントに使える面積は6×4.5判の1.5倍にもなるのだから,6×7判というのは「おトクなサイズ」と考えてもいいかもしれない。
 そんなとき,6月に東京で,マミヤRB67 ProSボディとの「よい出会い」があった(2008年6月22日の日記を参照)。
 7月には,大阪で,RB67用ロールフィルムホルダとの「よい出会い」があった。
 こうなるとあとはレンズだけである。
 しかし,なかなか「よい出会い」がない。

ようやく,まあ,納得できそうなものを「カメラのキタムラ」の「ネット中古」で見つけたので,とりあえず1本,購入することにしたのである。

Mamiya RB67 Professional S, Mamiya-sekor 90mm F3.8付き

Mamiya-sekor 90mm F3.8,「C」のつかない,マルチコート化される以前の初期のレンズであるが,「ホコリあり」「使用感あり」と注意書きがあったわりにはきれいであり,フロントキャップ,リアキャップ,UVフィルタ,ゴムフードが一通りついていたので,まあ納得できた次第。
 さて,RB67にレンズを取りつけてみた。RB67を含め,この種のカメラのボディは,立方体に近い箱である。
 ボディの後には,レボルビングアダプタを介してフィルムホルダが取りつけられている。このフィルムホルダは,マミヤプレス用のフィルムホルダと違って,幅が短いかわりに厚みがある。
 さらにボディの前にレンズを取りつけると,カメラ全体としては,意外と「長い」ものになるのであった。

ZENZA BRONICA ETRSを入手したとき,なぜブロニカは6×4.5判も6×6判も6×7判も,同じような電子制御レンズシャッター式一眼レフカメラをラインアップするのか,なんとなく釈然としないものがあった。とくに,6×6判というものは,プリントする際には6×4.5判に相当する範囲しか使えないではないか。6×6判カメラで,6×4.5判のフィルムホルダを使用できるようにすれば十分じゃないか,とも思った。6×6判は,ゼンブボロニカと呼ばれていたフォーカルプレーン式一眼レフカメラとして,明確な差をつけていた方がいいのではないか,なんてことも思ったりしたものである。
 しかし,RB67を手にして,よくわかった。
 6×4.5判一眼レフカメラは,「コンパクトであること」が,なによりもの特徴になるのだ。Mamiya RB67 Professional Sにくらべると,ZENZA BRONICA ETRSは,とんでもなくコンパクトなカメラなのである。

Mamiya RB67 Professional SとZENZA BRONICA ETRSを並べてみる

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