撮影日記


2008年05月24日(土) 天気:雨

べローズアタッチメント
「PB-5」を使う

「接写」をおこないたいときには,いわゆる「マクロレンズ」を使うことが多いだろう。ただ,接写をつねにおこなうわけでなければ,わざわざマクロレンズを買うのももったいない話ではある。そんなときには,レンズの前に取りつけて使うクローズアップレンズや,レンズの後に取りつけて使う接写リングを使う手もある。接写リングのようにレンズの後に取りつけて使うツールとして,ほかにべローズすなわち蛇腹がある。ベローズは長さを連続的に変えることができるため,接写リングにくらべれば撮影倍率の選択が容易になる。また,目いっぱい伸ばすとかなりの長さになるため,いわゆる「マクロレンズ」よりも高倍率の撮影も可能になる。
 ベローズには,モノレールタイプの大判カメラのようにアオリが可能なものもあり,製品によってはいわゆる「マクロレンズ」よりもいろいろな幅広い使い方ができるようだ。そのほか,スライド複写装置を取りつければ,マウントしたスライドのデュープをつくることもできるようになる。
 そんなベローズやスライド複写装置一式(べローズアタッチメントNikon PB-5とスライド複写装置Nikon PS-5)を譲っていただいていたのだが,なかなか使う機会がなく,せっかくのご厚意を活かせずに申し訳ない思いが募っていたものである。

さて,ここしばらく,久しぶりにモノクロプリントをしている。だいたい週に2回くらいのペースで,1回あたり2カットくらいずつ,プリントしている。過去に撮りためたネガフィルムから,テーマをもってカットを選びだしているが,それだけでは物足りない面もあるので,追加の撮影もしたりする。
 そんなとき,カラーポジで撮ったカットのなかに,使いたいシーンを見つけ出した。カラーネガであればまだしも,よりによってカラーポジである。もし,カラーポジフィルムをそのまま引き伸ばし機にかけてプリントしたら,いわゆる陰画プリントが得られることになる。この状態こそまさしく「陰画紙」だ(笑)。

これをモノクロプリントしたい。
Nikon F3, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S, E100VS
カラーポジフィルムをプリントしてみた。

こんな冗談をやっている場合ではない(これはこれで,うまくやればおもしろいものができそうであるが)。

さて,ポジフィルムを原版として陽画のプリントを得るためには,原版からネガフィルムをつくってやればよいことになる。ついに,譲っていただいていたPB-5およびPS-5の活躍する場面が訪れたのである!
 先端のスライド複写装置PS-5に,マウントしたポジフィルムをセットする。PB-5には,Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sを取りつけて無限遠の状態にしておく。そして,カメラを取りつけ,倍率やピントを調整する。このときできるだけ無駄なくフィルムに複写するために,ファインダー倍率は100%であることが望ましいはずだ。こういう場面では,当然ながら,ニコンF3様の出番となる。しかし,F3様にはつねにカラーポジフィルムを装填しておきたので,そこにNEOPAN 100 ACROSを装填するのにも抵抗がある。さて,どうするべきか。
 そうだ,こんなときこそ,ニコンF様にお出ましいただくのだ!

PB-5にPS-5,Nikon FとAi Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sを取りつけた。

ニコンF様用のウエストレベルファインダーはもっていないが,ファインダーをはずした状態でルーペを使ってピントを合わせればよい。露出は,先にニコンF3様で測っておいたので,それを基準に段階露出すれば十分だろう。モノクロフィルムに複写するのだから,光源の色もさほど気にする必要はない。ライトボックスの光で十分だ。
 実に久しぶりに,ニコンF様のシャッターを切ったことになる。巻き上げやシャッターの感触など,ニコンF様も実に上品な動きをなさるものである。
 結局このあとすぐに,複写した分だけフィルムを切って現像したので,ニコンF3様にNEOPAN 100 ACROSを装填しても,なにも問題はなかったのではあるが。

カラーポジフィルムををNEOPAN 100 ACROSで複写し,プリントしてみた。

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