撮影日記


2008年03月25日(火) 天気:曇のち雨

ブロニカがやってきた

2008年3月22日および2008年3月23日の日記のつづきのようなもの。
 銚子から東京に戻り,少しまだ時間に余裕があったので,八重洲地下街の「カメラのキムラ」を覗いてみた。まずチェックするのは,ニコン様の鎮座するウィンドウである。先日,八百富写真機店大阪駅中央店でNikon F70D様のジャンク品(¥1,500)を見かけたが,「ちゃんと動作するものが安価に入手できるかもしれない」という理由で,その日の購入を見送ったことがあった(2008年3月5日の日記を参照)。だから,まず気になったのは,ニコンF70D様の価格である。ニコンF70D様は何台か並んでいたが,いずれも¥4,800である。案の定,さほど高い価格はつけられていない。さらに,その隣に並べられていた¥2,800のニコンF50D様や,¥9,800のニコンF90様なども気になってくる。そこから離れたウィンドウには,裏蓋のゴムがベトついているというニコンF70D様が,標準ズームレンズ付きでやはり¥4,800で並べられていた。もしかすると,ニコンF70D様に貼られたゴムには,ベトつきやすくなるという問題があるのだろうか?八百富写真機店大阪駅中央店のジャンクコーナーにあったF70D様も,裏蓋のゴムがひどい状態になっていたものである。

さて,ほかにおもしろそうなものがないか,別のウィンドウを眺めていると,年配の方が店頭に飾られていた「ローライを見せてほしい」と店員さんに頼んでいるのが聞こえてきた。ちょっと気になったので,ウィンドウを眺めているフリをしながら,店員さんとの会話を盗み聞きしてみることにする(笑)。店頭のウィンドウには,二眼レフカメラのローライフレックスのほかに,6×6判一眼レフカメラのローライフレックスやライカ判コンパクトカメラであるローライ35もあったはずだ,この人が興味をもった「ローライ」は,なんだろう?カウンタにおかれた「ローライ」を一瞥すると,ローライコードのようである。
 さらに聞き耳を立ててみると,どうやら退職する人への贈り物として考えているようなことがうかがえた。店員さんは,そのローライコードを買うかどうかは,相手がどういう趣味をもっているかもう少し探ってから決めるのがよい,という意味のアドバイスをされていたようである。少なくとも,カメラを楽しみたいのか,撮影を楽しみたいのかくらいは,確認した方がいいだろう,ということのようだ。そして,もし,撮影を楽しみたいと考えているようだったら,二眼レフカメラではなく,「こういうのを選ぶのがいいかもしれませんよ」と,店員さんは私が眺めていたウィンドウのなかを指さしたのである。店員さんが指さした先には,フジGA645が置いてあった。
 そこは,中判カメラが並べられたウィンドウである。あらためて顔をあげた私の目に,今日,この店で何回目かの「¥4,800」という値札が飛びこんできた。その値札をつけられたカメラは,ゼンザブロニカETRSである。

ZENZA BRONICA ETRSは,6×4.5判の一眼レフカメラである。交換レンズには,セイコーの電子制御レンズシャッターが組みこまれている。ところで,こんなカメラが¥4,800という格安なのには,やはりそれなりの理由がある。値札には「シャッター動作せず」と記載されているのだ。「シャッター動作せず」というのは,どういう状況だろうか?ZENZA BRONICA ETRSは,レンズシャッター式のカメラである。レンズに組みこまれたシャッターが動作しない,というだけであれば,別のレンズをつければ問題ないはずだ。逆に,ボディ側のシャッター速度の制御にかかわる電子回路にトラブルが生じているのであれば,レンズには問題ないことになる。少なくとも外見はきれいだし,ウエストレベルファインダーやフィルムバックは使えるはずだ。店員さんに頼んで,見せてもらうことにした。

「シャッター動作せず,というのはどんな状況なんですか?」

「動かないわけじゃないんですが,不安定なんですよ。」

ボディ側のシャッター速度ダイヤルを変えても,その通りにシャッターが動作しないことがある,というのだ。そして,ボディ側に原因があるのか,レンズ側に原因があるのかはわからない,ということである。店頭に,ZENZA BRONICA ETRSのカメラもレンズもほかにないようなので,確認のしようがないのであろう。とりあえず動いているので,これを購入することにした。たとえばちゃんと動くボディだけとか,ちゃんと動くレンズだけとかを,後に,ジャンクコーナーから救出できるかもしれないという可能性に賭けたのである(笑)。朝,銚子の外川漁港で,Rolleiflexにフィルムが装填できず,「なんとなく6×4.5判の一眼レフカメラがほしい」と感じた(2008年3月22日の日記を参照)ことも,今ここで大きく影響しているのは間違いない。なお,代金を払おうと思ったら,¥4,800ではなく¥4,320を請求された。ちょうどセール期間中で,中古カメラは10%引きになっていたのである。
 さて,購入したZENZA BRONICA ETRSをいじっていると,なんとなく動作不調の原因はレンズ側にあるような気がしてきた。ZENZA BRONICA ETRSのシャッターは電子制御であるが,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」を参照してみると,「1/500秒はメカニカルシャッター」だと書いてある。ためしに電池を抜いてシャッターを動作させてみると,1/500秒かと思われる速さでシャッターが動作することもあれば,妙に長時間露光になってしまっている場合もある。また,レンズをボディからはずしてシャッターを動作させたときも,1/500秒かと思われる速さで動作することもあれば,妙に動きが遅いときもある。シャッター羽根に,粘りがきているのではないだろうか。ただ,レンズを通してみるかぎり,シャッター羽根にはそのような気配は見えない。このあたり,時間があるときにたしかめてみたいと思う。また,「正常に動作する」ことが確実な交換レンズがあれば,それを取りつけて動作を確認してみたいものである。


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