撮影日記


2008年03月22日(土) 天気:晴だけど強風

そうだ 銚子、行こう。

昨夜は,東京の友人たちと23時過ぎまで新橋で飲んでいた。それから総武線に乗り,日付が変わってから千葉に到着。そして,千葉駅のすぐ近くにある「ホテルサンシティ千葉」というところに宿泊した。インターネット上の宿泊予約サイトを利用し,千葉駅に近いホテルを価格最優先でさがして選んだビジネスホテルであるが,駅にごく近く部屋もまずまず。価格の割にはいいところではないかと思う。いや,「寝るだけ」の利用としては,贅沢すぎるかもしれない。結局,3時間半くらいしか寝ていないのだから。

朝5時半ころの千葉駅は,それでもちらほらと人影があった。そして,総武本線の銚子行き一番電車も,半分弱くらいの座席に人が座っていた。211系3000番台電車,窓を背にして座るタイプの車両である。これから2時間弱の長い道中に乗る車両として,こういうタイプのシートはいただけない。とはいえ,車内が混んでいないのは幸いだ。自分の正面に人がいないなら,こういうタイプの車両の方が,景色が広く見えるというものだ。駅に着くたびに車内の人は少しずつ減っていき,八街駅を出るころには,車内にいるのは数人だけになった。
 春になり,夜が明けるのもずいぶんと早くなった。千葉駅を出るころには,朝日が赤く空を染めているような状態だったのが,いつのまにか低い位置からさしこむ強烈な日差しに変わっている。千葉でもとくにこの付近では,全体が丘陵地のようになっていて,車窓の風景に高い山の姿が見られない。そのために,早い時刻から,低い日差しが強烈に差しこんでくるわけだ。乗っているのが窓を背にして座るタイプの車両だから,向かい側の窓を通してそのような変化をじっくりと楽しむことができたのである。
 総武本線は,特急も走る幹線である。線路状態がよい上に,駅間距離が長いせいか,普通列車とはいえかなりのスピードで走っている。もっとも,列車の運転本数は決して多くなく,佐倉駅で成田線と分かれた後は,単線区間になったようである。走行中にはそれなりのスピードを出しているようであるが,ところどころで列車交換のために数分間の停車が発生する。

単線区間ではすれ違いのために数分間停車することがある

さすがに前夜の睡眠が短かったせいか,少し眠ってしまっていたようだ。いつしか,少しずつ車内の人が増えていた。そして,窓の向こうに風力発電のプロペラが見えると,終点の銚子駅は近い。
 銚子を訪れるのは,2度目である。前回訪れたのは10数年前のこと。そのときは,クルマであちこちを案内され,その後,鴨川の方にも連れていっていただいた。今回は,犬吠埼あたりでのんびりしてみようと考えている。
 電車で犬吠埼を訪れるには,銚子駅で銚子電鉄に乗り換えればよい。銚子電鉄のホームは,JRのホームの先にある。総武本線の電車を降りたら,そのまま前に歩いていけばよい。銚子駅で改札口を出たりする必要はない。
 銚子電鉄で,銚子駅から犬吠駅までは,片道310円である。もう1駅先の,漁港がある終点のがわ駅まで乗っても310円。「1日乗車券」である「まわり手形」は620円で片道運賃の2倍と同額のため,すなおにこれを購入して乗ることにする。乗った電車は801号。車内に,伊予鉄道から昭和61年に譲り受けた車両である旨のことが書かれたプレートが取りつけられている。木の床板を通じてモーターのうなる音が伝わってくる。レトロな雰囲気満点の車両である。私のように,たまたまやってきた旅行者にとっては,これはうれしいものであるが,毎日,この車両で通勤・通学をしている人は,これをどう感じていることだろうか。
 目的地は犬吠埼だから犬吠駅で降りるべきだが,まだ時刻は早い。レトロな電車を楽しむために,終点まで乗ることにしよう。

乗ってきた電車は,外川駅で数分間停車した後,銚子駅に折り返していく。ひとまず外川駅を出ると,強い風が吹いている。風の吹いてくる方には,駅前からの下り坂がまっすぐに続いているのが見える。その先は,海だ。ふだん,海といっても瀬戸内海しか見ていない者としては,水平線のある景色を見るのは,うれしいのである。その光景につられて,坂を下りきってみると,そこは漁港になっている。ここでいろいろと写真を撮ってみようと,もってきたRolleiflexにフィルムを装填しようとしたのだが,オートマット機構がフィルムのはじまりを感知してくれず,素通りしてしまう。残念だが,今日はRolleiflexは使えそうにない。なんとなく,セミ判(6×4.5判)の一眼レフカメラがほしくなる。
 風も強いし,写欲を失ったので,しかたなく来た坂道をとぼとぼと力なく登る。そんな私を,外川駅は出迎えてくれた。味わいのあるその姿を見ると,やはりシャッターレリーズボタンを押したくなるというものだ。幸い,OLYMPUS LT-1というコンパクトカメラも持ってきていたので,今日は割り切ってこれでいこう!携帯電話機のディジタルカメラ機能もあるじゃないか(笑)。OLYMPUS LT-1というコンパクトカメラを使ってみると,あらためて,フジGA645のようなカメラもほしい気分になってくる(笑)。
 なお,外川駅のホーム上には,ディジタル一眼レフカメラと思われるものをもってうろうろしている人の姿があった。この人は,「鉄」な人だろうか?

強風のなか,この駅舎の存在感は大きい

犬吠崎は関東地方の東端に位置し,山頂や離島などを除けば,もっとも早く初日の出を拝める場所としてもよく知られている。その,犬吠崎の灯台までは,犬吠駅から徒歩10分足らずで到達できる。犬吠埼は断崖絶壁になっているものの,このあたりも全体に丘陵状になっており,その上面は比較的平坦である。そのせいか,やはり風が強い。さえぎられるものもなく,風が吹き抜けているという感じである。銚子駅の手前で,風力発電のプロペラが見えたのも,当然のことであろう。このあたりは,そういう場所なのである。
 それにしても,あまりに風が強いせいか,犬吠埼の灯台は公開が中止になっていたのは残念であった。

犬吠埼灯台は,残念ながら公開中止

このような状況でありながら,観光客と思われる人は,つぎつぎにやってくる。ここは東京からも近く,訪れる人も多い観光地であることは,間違いない。しかし,マイカーやバスで訪れる人がやはり多いのだろうか。まだ,時刻が早いからかもしれないが,犬吠駅からの道の途中に,同じように歩いている人を見かけることはなかったのである。

画像はすべて,携帯電話機のディジタルカメラ機能による。


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