撮影日記


2008年03月06日(木) 天気:晴ときどき曇 遅くに雨

「いちまぁい,足りなぁ〜い」

昨日(2008年3月5日)の日記の関連。
 3月2日に友人たちと食事をした際に,いくつかの小物をいただいた。
 そのなかの1つに,このレンズがあった。

OLYMPUS OM用のZUIKO ATUO-Zoom 75-150mm F4である。格別,珍しいものではない。ただ,「無限が出ない」(無限遠にピントが合わせられない)という。ピントリングの位置を無限遠にして,ようやく1mくらい先のものにピントが合う状態とのことである。外見はきれいなのだが,ジャンク品である。
 無限遠が出ないといっても,そのずれがわずかな場合は,微妙な調整等が狂っているのが原因であると思われる。しかし,ここまで顕著にずれている場合は,途中のレンズが抜けていたり,逆向きに取りつけられていたりする可能性が高い。もし,途中のレンズが失われているのであれば,それはもう,どうにも手が出せないことになる。

帰宅して,まずは実際にカメラに装着してみた。うちにあるOMマウントのカメラは,いまのところOM-707だけである。OM-707は,OMシリーズ唯一のオートフォーカス一眼レフカメラであるが,OMシリーズのファンたちには,「あれはOMではない」とみなす人も少なくないらしい。
 OM-707は,なんといっても,マニュアル操作がほとんどできないことが問題だ。オートフォーカスで使うことが前提のカメラであり,オートフォーカス用レンズには,ピントリングがない。レバーの操作でマニュアルフォーカスをおこなう機能は用意されているが,これが実に使いにくい。マニュアルフォーカスの目的である「精密なピント合わせ」用の機能ではなく,「オートフォーカスではピントがあわせられないとき」の緊急事態用の機能であるとしか思えない。
 露出モードは,プログラムAE専用である。この点から考えても,「自動化」を第一に目指したカメラであることは十分に伺える。フラッシュを内蔵したグリップを用意するなど,「簡単に高品位な写真を撮る」ことを目指したのであろうその意欲は,高く評価できる。しかし,少なくともオートフォーカス機能がようやく実用的になったという段階での投入は,時期尚早だったと言わざるを得ないものがある。
 ただ,旧来のOMマウントのレンズを使用できることは,評価できる。その場合は当然,オートフォーカスは使えず,レンズのピントリングを回してのマニュアルフォーカスでの使用になる。また,露出モードは絞り優先AEとなり,ワインダー内蔵のAEカメラとして使うことができる。

さて,OM-707にOM ZUIKO AUTO-Zoom 75-150mm F4を装着して,ファインダーを覗いてみた。
 たしかに,ピントが合っていない。
 近距離にしかピントが合わない,というだけでなく,全体がソフトフォーカスになってしまっている。レンズを見ても,端にたしかに小さなカビは認められるが,画面全体にソフトフォーカス効果が出るようなほどのものではない。
 おそらく,レンズが1枚(あるいはそれ以上)脱落しているのであろう。それによって,諸収差が補正されていない状態になってしまっているものと想像する。

それでも,もしかしたら「レンズが逆向きになっている」かもしれない,という期待を抱きつつ,レンズの分解をはじめた。
 組みこまれているフードの根元あたりが接続されているように見えるので,かるくひねってみると,そこがネジになっていて,するするするっと外れていく。フードが外れると小さなネジが4つ見え,それを緩めると前群レンズを緩めて外すことができた。

さて,前群レンズを外したところが次の画像である。

1枚(あるいはそれ以上)のレンズが組みこまれていたと思われる空間が,そこにあった。「いちまぁい,足りなぁ〜い」などと,いまさら恨めしそうに言ってもしかたないのだが,もうどうすることもできない。
 このレンズの一番前の玉にもカビがあったことから,この失われた部分のレンズにも,それなりのカビがあったものと思われる。もともとの持ち主も,このレンズにあったカビを除去しようと分解したのであろう。しかし,そのカビがあまりに酷かったのか,あるいは別のなんらかの理由で,その部分のレンズを廃棄してしまったことが考えられる。
 もし,「そこにはレンズがない状態が正しい」のであれば,無限遠にピントが合わせられない理由はほかにあることになる。正常なレンズがどうなっているか,ご存じの方があれば教えていただけるとありがたい。


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