撮影日記


2008年02月11日(月・祝) 天気:晴のち曇

梅が咲いたから試し撮りをしてみよう

一昨日入手したSuper-Takumar 50mm F1.4は,内部にカビが見られるが,とりあえず試し撮りをしてみようと思った。Super-Takumar 50mm F1.4を使うなら,ボディはやはりPENTAX SPを使うべきだ,と考えるのが自然だろう。
 ところがそこで,余計なことが気になった。
 「今年はいわゆるロシアカメラを使ってみようと思う」ということを,2008年01月27日の日記で書いたわけだが,Super-Takumar 50mm F1.4をソ連製一眼レフカメラであるZENIT Eで使ってもいいじゃないか,と思いついたのである。
 Super-Takumar 50mm F1.4もZENIT Eも,どちらもM42マウントである。ZENIT Eは自動絞りレンズに対応していないが,Super-Takumar 50mm F1.4は鏡胴の根元に近いところにあるレバーを切りかえることで,自動絞りレンズとして使うこともマニュアル絞りレンズとして使うことも可能である。だから,Super-Takumar 50mm F1.4をZENIT Eで使うことには,なんの問題もない。
 しかし,私の体は勝手に,Vivitar XC-3を取り出していた。
 「Vivitar」はアメリカのブランド名であるが,このカメラは日本のコシナ製である。底面に「MFG. BY COSINA」という刻印があるので,そのことはすぐにわかる。つくりもしっかりとしており,安心して使用できる。TTL露出計も快調なので,実用性も高い状態だ。シャッター速度の範囲は広く,1/1000秒から4秒までの電子制御のようだ。
 これは,私の手元にあるM42マウントの一眼レフカメラのなかで,もっとも気に入っているカメラである。このカメラの特徴として,オプションパーツ「XC-A」が用意されていることがあげられる。この「XC-A」を取りつけると,露出計に連動して,内蔵されたモーターがシャッター速度ダイアルを適切な位置にあわせてくれ,絞り優先AEカメラとして使用できるようになる。モーターがレンズの絞りリングを動かしてシャッター速度優先AEカメラとして使用できるようなユニットは,ニコンF2用のものやキヤノンF−1用のものが有名だろう。それに対して,Vivitar XC-3の場合は,絞りリングではなくシャッター速度ダイアルを回すのである。このようなカメラは,実用性はともあれ(笑),使ってみて「愉快」になれるカメラであるということに異論をはさむ人はないものと思う。

さて,レンズは日本製だし,ボディはアメリカのブランドではあるがやはり日本製である。いわゆるロシアカメラを使ってみよう,と思っていたはずなのに,これでは話が違う(笑)。そこで,Super-Takumar 50mm F1.4と比較する,というほど大げさなことは考えていないが,ソ連製のHelios-44 58mm F2も同時に使ってみることにした。このレンズの写りにはシャープな印象があり,手元にあるM42マウントのレンズの中ではお気に入りのものである。プリセット絞りなので,ZENIT Eのような自動絞りレンズに対応していないボディで使うときには気にならないのだが,自動絞りレンズに対応したボディで使うと,いささか使いにくく感じる。
 そこで,ついでにもう1本。Meyer Oreston 50mm F1.8にも登場していただくことにしよう。東ドイツ製のこのレンズは,自動絞りになっているので使いやすい。また,最短撮影距離が0.33mである点も特徴である。35mm判一眼レフカメラの標準レンズの最短撮影距離は,0.45m〜0.60mくらいのものが多い。Super-Takumar 50mm F1.4は0.45mだし,Helios-44 58mm F2は0.5mである。Meyer Oreston 50mm F1.8なら,もう1歩(厳密には歩幅がそんなに狭いことはないのだが)被写体に迫ることができるのだ。最短撮影距離だけを考えれば,いわゆるマクロレンズと比較したくなるくらいである。たとえば,1/2倍までの接写が可能なAi Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sの最短撮影距離は0.25mである。

さて,Vivitar XC-3と3本の標準レンズを持ち出して,近くの公園などを歩いてみる。角に,紅梅が咲いているのが見えた。これを開放で撮ってみよう。

まずは,Helios-44 58mm F2からだ。

Vivitar XC-3, Helios-44 58mm F2, DNP CENTURIA100

シャープさは期待通りのものがある。個人的には,プリセット絞りである点を除けば満足できるものである。
 次に,Meyer Oreston 50mm F1.8にいってみよう。

Vivitar XC-3, Meyer Oreston 50mm F1.8, DNP CENTURIA100

二線ボケの傾向が見られ,背景がややこしいときには,少々煩わしさを感じることもあるだろう。とはいえ,ここでは紹介しないが,いざというときに0.33mまで寄ることもできる安心感はありがたい。自動絞りレンズでもあり,私のなかではVivitar XC-3と組み合わせて使う中心的なレンズとして,これからも扱っていきたいと思う。
 最後に,Super-Takumar 50mm F1.4だ。

Vivitar XC-3, Super-Takumar 50mm F1.4, DNP CENTURIA100

Vivita XC-3のシャッター速度は1/1000秒までしかない。曇り空ではあるが,F1.4で1/1000秒だと,完全に露出オーバーである。だから,スキャン後の補正は,他よりも大きなものになっている。また,このレンズには,はっきりとわかるだけのカビも生じている。そのせいもあってか,いまいちぱっとしない写りに思われる。ぱっとしないとはいえ,全体に無難な写りをする「優等生」レンズの素質があるということは,間違いないと思う。

Super-Takumar 50mm F1.4は,その性能を高めるために,ガラス材に放射性物質が添加されており,自然界に存在する放射線よりもかなり強い放射線を発しているという話を聞く。レンズから放射線が出ているなら,高感度フィルムを使うと「カブリ」が生じるのではないかという疑問もわくが,その放射線は強いと言っても人体には影響がないとされる程度のものらしく,それくらいならフィルムには影響が出ないのかもしれない。少なくとも,今回,試し撮りした結果としてフィルムに「カブリ」があるようには見えなかったので,まあよしとしよう。
 レンズの比較をするならポジフィルムでやれ!という指摘は,ご容赦賜わりたし。


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