撮影日記


2008年02月04日(月) 天気:晴のち雨

三脚ネジ穴の位置が違う

2008年2月2日の日記も参照。
 システム的な互換性に制約のあるニコンF3AF(1983年4月発売)を除けば,ニコンで最初のAF一眼レフカメラは,ニコンF-501である。ニコンF-501の発売は1986年4月,最初の本格的なAFシステム一眼レフカメラと言えるミノルタα-7000の発売は1985年2月だから,1年以上遅れての登場となった。当時のカタログには,「マウントを変えずにレンズを変えた」という意味の文言が,1ページ目に記載されていた。それは,従来のXシリーズからレンズマウントを変更したミノルタαシリーズへの「当てつけ」であることは,疑うまでもないだろう。ともあれ,ニコンはAF化にともなって,マウントの形状は変更しなかった。しかし,AF用のレンズにはCPUを内蔵し,多数の電気接点を設けて,ボディとの間で信号をやりとりできるようにした。
 ニコンF-501は,ニコンのAFシステム一眼レフを構築しただけではない。AFという機構も含め,初心者でも使いやすいような機能が盛りこまれていた。たとえば,プログラムAE,DXコードによるフィルム感度自動設定,フィルムの自動巻き上げ(ワインダーの内蔵)とフィルム装填の自動化などがあげられる。ただし,これらの機能はいずれも,ニコンF-501ではじめて取り入れられたものではない。プログラムAEは,先にニコンFAやニコンFGに取り入れられていた。DXコードへの対応やワインダーの内蔵は,先にニコンF-301(1985年9月発売)で取り入れられていた。
 ニコンF-501は,ニコンF-301に次いで,ワインダーを内蔵された2つ目の機種である。そのためか,ニコンF-501とニコンF-301の外観は,たいへんよく似ている。

 

ニコンF-501とニコンF-301とは,外観が似ているだけでなく,いくつかのオプションが共通で使えるようになっている。その代表と言えるのは,マルチコントロールバックであろう。

マルチコントロールバックを装着すると,撮影日時が写しこめるだけではなく,インターバル撮影(指定した時間間隔で指定した回数の撮影をおこなう)ができるようになる。また,ニコンF-501に取りつけた場合は,キャッチインフォーカス(ピントを合わせてあるところに被写体が入ったら,撮影される)のような機能も使えるようになる。

ニコンF-501は,電源として単3乾電池4本が必要である。一方,ニコンF-301は,電源として単4乾電池4本が必要である。いずれも,電池は底面に入れるようになっている。使用する電池の大きさが異なるため,ニコンF-501の方が底蓋が厚く,全体に背が高くなっている。
 ところで,ニコンF-301の電源部分をよく見てみると,単4乾電池4本をアダプタにはめて,それを装填するようになっている。このアダプタを使わなければ,ここにはそのまま単3乾電池4本がはいるようになる。しかし,ニコンF-301の底蓋は厚みが足りないので,単3乾電池を装填したときには,ここがきっちりとは閉まらない。

では,かわりにニコンF-501の底蓋を使ったら,ニコンF-301に単3乾電池を装填した状態で,底蓋が閉まるのではないだろうか。さっそく,試してみよう。すると,期待通り,底蓋が閉まることがわかった。

しかし,なにかおかしい。よく見ると,三脚ネジ穴がないのである。ニコンF-501とニコンF-301の底蓋の大きさは同じなのだが,三脚ネジ穴の位置が違うので,そのための穴が開けられている場所が異なるのだった。

ということで,ニコンF-501の底蓋を流用して,ニコンF-301で単3乾電池を使うことができるかもしれない,という予想は,見事に外れたのである。もっとも,ニコンF-301を長く使ってきたが,電池の消耗に悩まされたことはない。ワインダーの消費電力は小さくないと思うのだが,意外と長持ちしてくれるのである。ニコンF-301は,すなおに単4乾電池を使って,コンパクトなワインダー内蔵のマルチモードAE機として使い続けることにしよう。ニコンF-501では単3乾電池を使う仕様になっているのは,ワインダーに加えて,レンズを駆動させるモーターの電力も必要だからなのだろう。


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