撮影日記


2007年11月07日(水) 天気:晴

リコーのカメラといえば
ゼンマイ巻き上げだろ!

リコーがカメラ(ディジタルカメラを除く)の製造・販売を終了してから約5年になるらしい。株式会社リコーのウェブサイト(※1)によれば,リコーの最後のカメラは,2002年発売の「R10」というカメラのようだ。
 それまでの間,リコーは実に多種多様なカメラを発売してきた。「リコーを代表するカメラはなにか?」と問えば,人それぞれ,さまざまな回答が得られるはずだ。
 たとえば,写りが優秀という評判がよく聞かれるリコー「GR」シリーズを挙げる人もあるだろう(私は「GR」シリーズのカメラを所有してもいなければ,使ったこともないので,とくに感想等を語ることができない)。日本のカメラの歴史を語る上では「リコーフレックス」シリーズを避けて通ることはできない,ということを強調する人もあるだろう(私も同感である)。あるいは,リコー「オートハーフ」シリーズこそがリコーを代表するカメラだと考えている人もあるに相違ない。

リコー「オートハーフ」(1962年発売)は,ハーフサイズカメラの代表的なシリーズである。ハーフサイズカメラというと,オリンパス「ペン」シリーズの方が人気が高いかもしれない。また,その当時のハーフサイズカメラの流行を開いた,歴史的に意義の高いカメラである。そう考えればリコー「オートハーフ」は,オリンパス「ペン」の成功を見て作られた所詮「2番煎じ」である,といえなくもない。しかし,初代オリンパス「ペン」が,「小さい」「安い」「高性能な」カメラを目指していた(と思われる)のに対し,リコー「オートハーフ」は,「簡単な操作で写真が撮れる」ことを重視したカメラである(と思われる)。コンセプトがまったく異なるカメラである。だからこそ,多くの人の記憶に残るものなのだ。
 リコー「オートハーフ」の最大の特徴は,ゼンマイ式のワインダーを内蔵していることだろう。ゼンマイ式のワインダーを内蔵したカメラは,リコー「オートハーフ」以前にもいろいろと発売されているが,リコー「オートハーフ」は,「セレン光電池による自動露出」「固定焦点(ピント調整不要)」と「ゼンマイ式ワインダー」を一体化した。つまり,撮影者はただ「シャッターレリーズボタンを押すだけ」で写真が撮れるようになったのである。しかも,電池は必要ない。画面サイズはハーフサイズなため,まさに省エネ,省資源なカメラとなったのである。

リコー「オートハーフS」(1965年発売)

自動露出とゼンマイ式ワインダーの組み合わせは,かなりの好評を得たものと思われる。リコー「オートハーフ」シリーズは,オリンパス「ペン」シリーズほどではないようだが,多くの機種が長く発売されることになったのだ。さらに,リコー「オートハーフ」シリーズから発展したものと考えられるカメラがある。1964年発売のリコー「オートショット」は,「セレン光電池による自動露出」と「ゼンマイ式ワインダー」をそなえたライカ判のカメラである(ピント調整は目測式)。

リコー「オートショット」(1964年発売)

今日は,夕方から東区民文化センターに行く用事があった。せっかく東区民文化センターまで行くのだからと,そこでの用事の前に,カメラのキタムラあけぼの店に立ち寄ってみた。「カメラのキタムラ」あけぼの店は,広島市内の「カメラのキタムラ」のなかでは,たいへん中古カメラの扱いが充実しているお店である。単に中古カメラの扱いが充実しているだけでなく,ジャンクカメラの扱いも充実しているのだ(2007年9月29日の日記を参照)。今日も,なにかに出会えそうな予感があった。そして,ジャンクコーナーのなかに見つけたカメラがこれである。

リコー「AD-1」(1979年発売)

1979年発売のリコー「AD-1」である。自動露出とゼンマイ式ワインダーを備えたカメラである。露出計に電池が必要になったが,ワインダーは「連写」が可能な仕様に進化している。カタログの表現によれば「35mm判レンズシャッターカメラで世界初の連写機能内蔵」とのことだ。さらに,日付を写しこむこともできる。もっともクォーツ時計が一般化する前の時代のカメラだから,日付の設定はダイヤルを自分で動かしてあわせるようになっているものだ。いわゆる「オートデート」ではない。
 ゼンマイをいっぱいに巻いておけば,1秒あたり2〜1コマくらいの速さで,15コマくらいの連写ができるようだ。ゼンマイが弱ってくるので,だんたん巻き上げが遅くなるのはご愛嬌♪ともかくもおもしろいカメラであるが,リコーを代表する「ゼンマイ巻き上げ」のカメラは,この「AD-1」とその廉価版「A-2」が最後になってしまったようだ。

※1:http://www.ricoh.co.jp/camera/cameralist/1981-.html


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