撮影日記


2007年09月26日(水) 天気:晴

ハエのたかる花

今年は,ヒガンバナの開花が遅れているようだ。例年であれば,「敬老の日」のころにちょうど咲き始め,お彼岸のころには満開になっているかと思う,今年はようやく,開花の早い群落が咲き始めたという感じだ。
 ヒガンバナは,近所の土手や公園,田畑の脇などによく見られる。たまに白い花が咲いていたり,園芸品種のさまざまな色のものが咲いていたりすることもあるが,多くは「真っ赤な花」というイメージがあるだろう。また,ヒガンバナにはアゲハチョウが寄ってくることが多いように感じる。真っ赤な花に,濃い色をしたアゲハチョウの組み合わせは,実に濃い色の絵になるものである。

最近,うちではこんな花が咲いている。

Canon EOS10, EF35-135mm F4-5.6 USM, HD4

正確な種名等は聞いていないのだが,おそらくガガイモ科のスタペリア属に分類される花だと思う(単に,「スタペリア」とよんでもいいのだろうか)。この花は,なんといってもつぼみが大きくふくらむ。もう,これ以上ふくらむと破裂する!というくらいふくらむ。開花するまでは,「いったいどんな花が咲くのだろう?」と期待もふくらむ。サボテンのような鮮やかで派手な花が咲くのではないだろうか・・・・?
 そして,星型に大きく広がった花が開く。その中心部は毒々しい赤系の色をもっているが,周辺部や裏側は,どちらかというと褪せたような色をしている。別の特徴として,細い長い毛がたくさん生えていることが指摘できる。これは,インパクトのある花だ。
 この花の中心部付近を,マクロレンズでも撮影してみることにした。

Nikon F3, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S, EB

しべや花の毛の間に,白く細いものが見える。それもしべの一部だろうか?あるいは花粉がたまっているのだろうか?よく見ると,その白く細いものは,うごうご動いている。なにやら「虫」のようだ。ふと,ファインダーのなかに,飛ぶものの姿が見えた。花にとまったところでピントをあわせると,それはハエである。この花には,ハエが寄ってくるようなのだ。

Nikon F3, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S, EB

この花に寄ってくるハエは,1匹や2匹ではない。少なく数えても,3匹は来ている。ということは,この花のなかでうごめいている白いものは,・・・

 う じ 

・・・・ということになるようだ。
 なんて花なんだー!花のにおいを嗅いでみると,なんとなくくさい。とにかく,くさいのである。ようするに,ハエが好むもののにおいということなのだろう。それに気がついて,あらためてこの花を眺めてみると,表は毒々しい赤,裏は色褪せた状態で,そして長い毛がある・・・・ハエにとっては,動物の死肉かなにかにでも見えているのではないだろうか!?それにくわえて,このにおいである。

このスタペリアの花は,2日くらい咲いたあと,しぼんで落ちてしまう。すぐに落花してしまうし,この花そのものは,「うじ」にとって十分な食料を供給することはできないようだ。そのため,ここで生まれた「うじ」が成虫になることは難しいらしい。
 なんとも,残酷な花のようである。


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