撮影日記


2007年08月31日(金) 天気:雨のち晴

リコーフレックスVIIsの復活

今夜は,いただいた「リコーフレックスVIIs型」を撮影に使える状態にしてみようと考えた。いまは,ビューレンズが根元から緩んでおり,さらにシャッター羽根は油まみれで開閉しない状態である。このままでは,まったく撮影は不可能だ。

さて,ビューレンズは,前板にネジで止められているだけだから,裏側からネジをしめてやるだけでよい。そのネジに到達するためには,ピントグラスをはずさなければならない。ピントグラスをはずすためには,ファインダーフードをはずさなければならない。
 ファインダーフードをはずすには,四隅にあるネジ4本をはずすだけでよい。これでファインダーフードがはずれる。ピントグラスは,ファインダーフードに固定されているので,これだけでビューレンズを固定するネジに到達できることになる。
 さて,ネジを固定しようとしたときに,おかしなことに気がついた。ビューレンズはネジによる回転繰り出し式になっているわけだが,そのネジが固着しており,動かないのである。それが,ビューレンズが根元から緩んでいた原因にほかならない。ビューレンズの繰り出しが固着した状態で,無理にビューレンズを回転させようとすれば,それが根元から緩んでしまうのは当然だ。
 そこでまずは,ビューレンズを前板から取りはずすことになる。取りはずしたビューレンズの繰り出しを回転させようとするが,これがほんとうに強く固着しており,簡単には動かない。素手ではすぐに手が痛くなってしまう。滑り止めのゴムのついた軍手を着用するが,それでもびくともしない。見たかぎり,ビューレンズの鏡胴に歪みがあるようには見えないので,グリス等が乾いて固着したものと考えた。そこで,有機溶剤を少しずつ浸みこませながら,ゴムのついた軍手を使って少しずつ力を加えていった。何度か有機溶剤を浸みこませてから力をかけたとき,ようやく,ビューレンズの繰り出しは少し動くようになった。さらにそれを繰り返すことで,ようやくビューレンズの繰り出しをはずすことができたのである。そこには,予想通り,からからに乾ききったグリスと思われるものがこびりついていた。
 そこをきれいに拭きとって,かわりにシリコンオイルを塗り,ビューレンズを組み直した。少々ぎこちなさは残るが,とりあえず無限遠から最短撮影距離まで,ビューレンズの繰り出しは動くようになったのである。

次に,シャッターの清掃である。テイクレンズを完全にはずせば,シャッター羽根に容易に到達できるようになる。その状態で,有機溶剤と綿棒を使って,シャッター羽根についた油を取り去る。何度か清掃をすると,シャッターはスムースに開閉するようになった。幸い,メカニズムの方には油による「粘り」は発生していなかったのだろう。シャッター羽根の清掃だけで,シャッターは動作するようになったのである。

レンズを組み直すときには,テイクレンズとビューレンズの双方の無限遠の調整が必要である。テイクレンズについては,シャッターをBで開放にし,先にはずしたピントグラスをフィルム面にあてて,無限遠の被写体にピントをあわせることで,無限遠の位置を決めることができる。その位置をパーマセルテープで固定しておけば,ここまでは完了だ。
 次に,ビューレンズを前板に取りつける。ここは,不意に緩んでずれてしまうかもしれないので,強く取りつけておかねばならない。そのとき,レンズのストッパーのピンの位置を確認し,ビューレンズ周囲のピントリングが無限遠と最短撮影距離付近でとまるようにする必要がある。
 ビューレンズを組みつけるときには,ピントリングははずしておく。ピントリングの周囲がギアになっており,テイクレンズのピント調整と連動するようになっているため,ビューレンズの無限遠を合わせてからピントリングを取りつけなければならないのである。ビューレンズを組みつけ,ピントグラスとファインダーを組み立てたら,ファインダーを見ながらビューレンズの無限遠の位置をさぐる。
 無限遠の位置が決まったら,ピントリングの無限遠のマークが合うように,取りつける。これで,レンズの組み立てが完了だ。

ネームプレートについては,いずれ,適当なものを作ってやらねばなるまい。


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