撮影日記


2007年08月28日(火) 天気:雨ときどき晴

皆既月食

今夜は,日本国内では6年ぶりに皆既月食が見られるという。月食とは,満月のとき,地球の影によって月に太陽光があたらなくなる現象であり,皆既月食とは,月全体が地球の影にはいってしまうことをさす。その現象そのものは毎年のようにおこるのだが,自分のいる場所が昼間にであるときにおこると,それを見ることができない。
 月が地球の影にはいってしまうからといって,その間,月が完全に見えなくなってしまうというわけではない。地球の影と月の微妙な位置関係や,観測場所の大気の状態などの影響によって変わってくるのだが,多くの場合は,赤銅色に暗く見えるようになる。赤銅色になるもののあまり暗くならないこともあれば,ほぼ真っ黒になってしまうこともある。今回はどのような色になるか,どれくらいの暗さになるか,というのも,皆既月食を見る楽しみの1つである。
 しかし,昼間から夕方にかけては,激しい夕立もあった。天気予報では,北海道を除いて,今夜は晴天は期待できないという。
 だから,期待していなかった。しかし。月がのぼってくるころには,晴れ間が広がってきた。そして,皆既のピークのころには,空は晴れ渡っていたのである。
 今回は,月食の最初からが見られるわけではなく,天気の期待もできなかったことから,とくに撮影の計画や準備はしていなかった。しかし,ほどよく赤銅色に輝く月を見ると,やはり撮りたくなってしまう。こういうときは,お手軽にディジタルカメラで撮影しておこう。
 Nikon D70に,Reflex-NIKKOR 50mm F8を取りつけた。Nikon D70は,電気接点のないニッコールレンズを使用する場合には露出計がはたらかないのだが,月を撮るときにはどのみち露出計はあてにならない。むしろ,ディジタルカメラであることの利点をフルに活用すればよい。マニュアルで,何段にもわたっての段階露出をすればよいのである。

Nikon D70, Reflex-NIKKOR 500mm F8, ISO1600,1sec

月は,思ったよりも明るいものである。それに対して,皆既中の月はかなり暗い。これらを同時に写しこむとき適正露光を見きわめることは容易ではない。しかし,ディジタルカメラであればこそ,何段にも段階露出をおこない,適正と思った露光量で,さらに撮りすすめればよいことになる。
 ディジタルカメラのメリットが,フルに生かせる場面だ。
 ところで,Nikon D70の撮像素子はいわゆるAPS-Cサイズだから,写角は1.6倍の焦点距離のレンズに相当する。Reflex-NIKKOR 500mm F8に,テレコンバータTC-200も取りつけた。これで,1600mmレンズで撮影するときに相当する写角が得られる。ただしこの場合は,露光時間がどうしても長くなり,焦点距離が長くなったこともあわせると,どうしても月を静止させることができないのであった。

Nikon D70, Reflex-NIKKOR 500mm F8, TC-200, ISO1600,4sec

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