撮影日記


2007年03月31日(土) 天気:曇

サクラが咲いたので
比治山にも行ってみよう

先週末は,天気はまずまずだったものの,サクラの開花にはまだ早い状態だった。平和公園から横川にかけての本川沿いには,サクラ並木が続く。私は「楠木の大雁木」という場所のところにあるサクラの木がいつも気になっている。例年,それをきちんと撮りたいと思いながら,なかなか開花のタイミングと天気と自分の都合が一致しない。今年は比較的余裕があるので,きちんと撮りたいと思っている。
 さて,サクラはまずまずな状態になったようだが,今日も天気の方はいまひとつな状態である。また,午後からは雨が降るかもしれないという予報があったので,朝6時,まずは平和公園に直行してみた。人影はまだまばらである。カメラをもってうろうろしているような人は,ほかに見かけない。サクラの花についてはぼちぼち撮り頃かと思われるが,天気があまりにもあいまいであり,どうしても花が背景に溶けこんでしまう。
 天気が少しでもよくなることを期待しつつ,「楠木の大雁木」へ移動を開始した。POP'La通りまで来てみると,ここもサクラの花はほどほどである。しかし,やはり背景がうまく組み合わせられない。対岸には,サクラの下で清掃活動をされている人の姿が見える。やはり印象の弱い画面にしかなりそうもないが,撮ってみることにした。土曜日の朝,7時近くにもなると,散歩をしている人の姿も多くなるようだ。カメラをセットしていると,通りかかった年配の女性から「水鳥を撮っているんですか?」と声をかけられた。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR ED18mm-70mm F3.5-4.5G
Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR ED18mm-70mm F3.5-4.5G

「いえ,サクラです。」

「楠木の大雁木のサクラもいいわよ。」

「はい,このあとそこまで行くつもりです。」

「私もあそこのサクラの大ファンなんよー,気をつけてね。」

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR ED18mm-70mm F3.5-4.5G

川に続く石段に覆いかぶさる「楠木の大雁木」のサクラの姿は,けっこう多くの人が気にかけているのだろう。
 朝8時を過ぎると,およそ1週間後に迫った選挙の立候補者の宣伝カーの喧騒が目立ちはじめる。「楠木の大雁木」のサクラも,そろそろいい具合に咲きはじめている。しかし,雲の間から日光が射しこむこともなく,いったん帰宅することにした。

曇り空だと,空が白い。背景が白っぽいと,淡いサクラの花は,目立たない。空が白くなければいいわけで,曇り空でも白くない空というと,夜空しかない(笑)。そこで,午後から,あらためて比治山に出直すことにした。なぜ,比治山を選んだのか,それは,この時期の比治山は,このような行灯がたくさんぶら下げられた「べた」な「サクラの名所」になるからである。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR ED18mm-70mm F3.5-4.5G

「べた」とは,辞書では「一面に隙間のないようす」をあらわすことばとして説明されている。そこから意味が転じたのかどうかは知らないが,最近では「多くある」「ありがちな」のような意味合いに使われることが多い。「昼行灯」ということばがあるように,昼間はこれらの行灯は,目立たない存在にすぎない。しかし,夜になればこのように「べた」な名所を演出してくれる主役として,表舞台に踊り出るのであった。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR ED18mm-70mm F3.5-4.5G

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