撮影日記


2007年02月05日(月) 天気:晴

ベビーパールで平和公園を撮る

昨日,広島市現代美術館を訪れる前に,空き時間ができたので平和公園に立ち寄った。この時間を利用して,いよいよ「ベビーパール」の試し撮りをおこなうことにしたのである。今日,使用したフィルムは,efke「R100」というクロアチア製のものである。使用期限を3年ほど超過しているのだが,ずっと冷蔵庫に保管(放置?)していたので,まあ,使用は可能であろう。
 127フィルムは,120フィルムと同じように裏紙のついた,ロールフィルムである。ただし,大きさは,120フィルムとくらべて,はるかに小さい。まず,幅が狭い(120フィルム:約6cm,127フィルム:約4cm)のだが,それにくわえて,スプール(軸)が細いのである。細いスプールに固く巻きつけられているため,巻き癖が強く,現像タンクにセットするときなど,けっこう苦労するのである。ところで,「ベビーパール」は,蝶番による裏蓋開閉式になっているので,フィルムの装填は容易である。一般的に,裏蓋にはフィルムの平面性を保つための圧板が,板ばね等で取りつけられているものだが,「ベビーパール」はそのようになっていない。巻き癖の強い127フィルムを使用するせいなのか,圧板にあたるものをフィルムに載せて,裏蓋を閉めるようになっている。

「ベビーパール」の裏蓋を開く。

このようなしくみになっていることで,カメラの厚みがかなり抑えられているのかもしれない。「35mm判のレチナ1a」とくらべても,カメラはたいへん小型になっている。
 ただ,フィルムを板バネ等で抑えているのではなく,裏蓋で完全に挟みこむ状態になっているせいか,巻き上げは重い。しかも,巻き上げノブが,たいへん背の低い(薄い)ものになっているので,なかなか力が入らない。フィルムの前半はいいのだが,後半,とくに裏紙の番号が6を過ぎるあたりから,巻き上げが非常にやりにくくなるのである。ちなみに,127フィルムは,6.5cm×4cm判(ベスト判)で8枚撮り,あるいは4cm×4cm判で12枚撮りとして使われるのが基本である。「ベビーパール」の画面サイズは3cm×4cmであり,ベスト判のハーフサイズ(ベスト半裁判)であるため,16枚撮りとなる。裏紙の番号は,ベスト判のもの(および4×4判のもの)だけが印刷されており,裏蓋に2つある赤窓に,同じ数字を1回ずつ表示させることで,ベスト判の半分ずつ,フィルムを送るようになっている。裏紙の番号が6というのは,16枚撮り中の12枚目あたりということだ。

さて,「ベビーパール」のファインダーは,折り畳み式の簡素なものである。おおよその写る範囲を知ることができるものであり,厳密なフレーミングは難しい。しかし,この種のファインダーは,暗いときでも被写体に狙いをつけることができる,という意味では優れているものといえるだろう。
 巻き上げとシャッターのチャージは連動していない。というか,シャッターをチャージするという動作は,必要ない。シャッターレリーズレバーを動かすことで,いつでも何度でも,露光が可能なのである。そのレバーを動かす量はやや大きく,カメラブレを起こしやすそうで,撮影にはやや不安が生じる。
 シャッター速度は,Bのほかには1/25,1/50,1/100の3段階しかない。絞りは開放(F4.5)からF22まであるので実際の撮影には問題ないと思われるが,現代の感度ISO100のフィルムを使用するには,とくに夏になると,最小絞り付近ばかりを使用することになりかねない。絞りを調整するレバーは,蓋の関係もあって,やや操作しにくい場所に位置している。

ということで,決して使いやすいカメラではない。しかし,このコンパクトさはどうだ。気持ちいいくらいに小さい。一般的に,蛇腹をもった折り畳み式のカメラは,(同じ画面フォーマットのカメラの中では)たいへん小型になっている。「ベビーパール」は,セミ判(120フィルムを使った6×4.5判)やライカ判(35mm判)のカメラとくらべても,たいへんに小型である。かつて,「ベスト半裁判」のカメラが多くつくられた時期があったわけだが,カメラが小型になるということに,大きな意味があったのだろう。
 平和公園をあちらこちら,気軽に撮って歩いた。実に軽快なカメラであるが,やがてフィルムが終わりに近づくにつれて,巻き上げがスムースにできなっていくのであった。

「ベビーパール」(左)と「レチナ1a」(右)の大きさを比較する。

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