撮影日記


2007年01月14日(日) 天気:晴

元安川を漂う休日

大阪から友人がやってきた。今日はいろいろあって,平和公園周辺を案内させていただくことになる。ありがちではあるが,私はマミヤプレス,友人はマミヤC220を使用して,原爆ドームの対岸から原爆ドームなどを撮ってみた。
 広島市内の川には,「雁木(がんぎ)」とよばれる石段がおよそ300ヶ所存在する。それらはかつて,舟運の発着場だったところである。それを利用した「雁木タクシー」というものがNPO団体によって運営されており,1つの観光スポットとして定着しつつある。原爆ドームの対岸は,「雁木タクシー」が待機している場所の1つである。ちょうど,「雁木タクシー」の方から,ぜひ乗ってみませんかと声をかけられた。私も以前から一度乗ってみたいと思っていたし,せっかくだから大阪から来てくださった友人にも楽しんでもらえるものと思い,乗せてもらうことにした。10分ほどの周遊で1人500円というから,料金的にもお手ごろといえるだろう。
 「雁木タクシー」の人は,川の上からも,きっといい写真が撮れますよ,などとすすめてくださる。たしかに,川の上という,いつもと違う視点から見る景色は新鮮なので,期待は高まる。「雁木タクシー」は,発着場からゆっくりと上流に向かって発進した。徐々にスピードをあげた・・・・かと思うと,スピードを落とした。ちょうど,原爆ドームの真正面あたりである。

「原爆ドームを撮りやすいように,わざわざここで減速してくれたんだな。」

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-sekor 50mm F6.3, EPN

しかし,その後,なかなか加速をしない。船長さんは,なにやら困った顔をしている。
 どうやら,エンストしたらしい。
 動力を失った「雁木タクシー」は,スピードを落としながら,元安川を上流に向かって漂流していった。

「おかしいなあ,ガソリンも十分にあるのに。」

「すみませんねえ,こんなことははじめてですよ。

と,船長さんは恐縮しっぱなし。一方,乗客である私たちは,

「写真を撮りやすい場所で,ちょうどいいですよ。」

「同じ料金で,長時間乗っていられるから,おトクですね。」

「こういうことは滅多に経験できませんから,うれしいです。」

と,気楽なものである(笑)。
 やがて,相生橋のところの小さな雁木に,救援の人の姿が見えた。「雁木タクシー」は,その方に向かって漂流を続ける。ロープが届くような距離になったので,ロープを渡し,引き寄せてもらった。

携帯電話のディジタルカメラ機能で撮影。

とりあえず料金を返していただき,川岸から「雁木タクシー」のようすをしばらく眺めていた。やがて,「雁木タクシー」は直ったようである。燃料タンクからエンジンに燃料を送るコックがしまっていたとか,そういうことが原因だったようだ。
 あらためて料金を払い,上流へ向けて発進である。のんびりと横川付近まで行ってもどってきたのだが,やはり川から見る景色は新鮮である。あらためて見ると,極端に高いビルがあまり目立たず,空が広く感じる。天気もよくて,まさに絶好の「雁木タクシー」日和だったと言えるだろう。
 川岸にサクラが咲く時期に,あらためて利用してみたいものである。

Mamiya Press SUPER23, Mamiya-sekor 100mm F3.5, EPN
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