撮影日記


2006年11月25日(土) 天気:曇のち雨

三滝寺の紅葉

実は,この秋には,「紅葉」の写真を撮りに行く機会が得られなかった。例年であれば,11月3日ころには三段峡や常清滝へ,11月10日ころには筒賀神社へ,それぞれ紅葉を主目的に撮りに出かけていたものである。
 そして例年であれば,11月23日をすぎると,そろそろ紅葉も見納めという様相を示すようになってくる。ところが,幸か不幸か,今年は全体的に紅葉の進行が遅いという。広島県北部の方ではすでに見納めとなっているところも多いであろうが,広島市内であれば,もうしばらくは最後の紅葉を楽しめるはずだ。今日は夕方から予定があるのだが,午前中を利用して,近場に紅葉を撮りに行くことにした。

こんなとき,行き先として選ぶのは,やはり三滝寺である。
 三滝寺は,本尊の阿弥陀如来坐像や,第二次世界大戦後にこの地に移設された多宝塔という重要文化財をもつ,真言宗の古寺である。「三滝」の名は,ここにある3つの滝(駒ケ滝,梵音の滝,幽明の滝)に由来する。この背後の山は,ハイキングコースとしても人気があるようだ。ちなみに,三滝寺の駐車場には,この駐車場は参拝者のためのものであり,山歩きの人の駐車はご遠慮いただきたい旨の立て札がある。写真撮影を目的に訪れる私も,そこへの駐車は遠慮するべきなのだろう。三滝寺の駐車場には,JR可部線の三滝駅から歩いても15分くらいで到達できる。運動も兼ねて,すなおに歩いて訪れるべき場所であると考えることにしよう。広島市中心部のごく近くで深山幽谷の雰囲気を楽しめるのが,三滝寺の魅力の1つだといえるのだから。
 今日は,Tachihara Fielstand45とレンズ3本,フィルムホルダ3枚を用意した。ほかでもないが,このフィルムホルダには,この春に装填したまま使っていないフィルムが入っている。これを消費してしまうことも,大きな目的の1つとなっている。なお,三脚は,スリック「ザ・プロフェッショナル」を選んだ。
 三滝寺への道は,歩く人も多いし,クルマも多い。そして駐車場はやはり大混雑である。こんな日は,歩いて訪れるのが大正解である。さて,見下ろしてみると,まっ黄色に色づいたイチョウにはさまれた多宝塔が美しい。

Tachihara Fielstand45, Fujinon 210mm F5.6, E100G

下におりてみると,石仏の向こうの紅葉が,どんよりしているものの明るい空を背景に,適度に半逆光状態になって美しく見える。石仏にもピントをこさせるため,ここでは激しくスイングアオリも試みた。

Tachihara Fielstand45, Fujinon 150mm F5.6, EPN

多宝塔への石段から見下ろすと,まっ赤な紅葉が目に飛びこんでくる。最後にここを撮ることにして準備をしていると,「シャッターを押してください」と声をかけられる。この場所は,とくに訪れる人が多いのだろうか,なんか,次つぎに声をかけられる。ほとんどの人は,「紅葉を背景にして自分たちを撮ってほしい」というものだが,なかには,「紅葉をこのカメラで撮ってほしい」という人もあった。もちろん,こういうときは気持ちよく応じるのであるが,今日はそうやって渡されたカメラのなかに,意外なことにディジタルカメラは1つもなかった。まだまだ,カメラすなわち写真機は健在なのである。

Tachihara Fielstand45, Fujinon 150mm F5.6, E100G

← 前のページ もくじ 次のページ →