撮影日記


2006年10月15日(日) 天気:晴

組立暗箱を使おう

カメラの原型といわれるものに,カメラ・オブスキュラというものがある。これは,箱にレンズがついており,内部に光路を90度曲げるための鏡があって,レンズを通った光を上部のガラスに像として写し出すしくみになっている。これは,その上に紙をおき,風景等を忠実に絵として複写するために使われたとされている。それはすなわち,箱であり,現在の一眼レフカメラの原型であるともいえるかもしれない。
 その後,紙をおくかわりに,アスファルトや銀を利用した感光材に画像を記録するようになった。それが,写真である。つまり,カメラは本来,箱だったのである。
 写真が発明されたころの「銀板」などの感光材は,高価で感度が低く,使いにくいものだったようだ。その後,ガラス板に感光性をもたせた薬品を撮影直前に塗り,それが乾かないうちに撮影する「湿板」というものが発明された。それがさらに,「乾板」に改良されると,それは工場で大量に製造して保管しておくことができるようになり,屋外での出張撮影などもやりやすくなったという。
 出張撮影となると,カメラも小型になるとありがたい。
 当初は大きな箱だったカメラが,蛇腹をもって折り畳めるような姿にかわっていった。その姿の1つが,組立暗箱である。

畳まれた状態から,リアのボードを起こし,次にフロントのボードを起こす。このように,使うたびに組み立てるところから,組立暗箱とよばれるようになっている。暗箱とはいうまでもない,感光材によぶんな光があたらないよう,カメラというものはなかが「まっ暗」な箱であることを意味している。
 組立暗箱は,カメラとして非情に古典的なスタイルをしている。しかし,現在でも4×5判など大判カメラではポピュラーなスタイルである。金属製で「フィールドカメラ」などとシャレた呼び名がつけられていることもあろうが,それは現代的にアレンジされているものの古典的な組立暗箱なのである。
 もちろん,木製のまさに古典的な組立暗箱であっても,現代でも十分に実用的である。これは,「Okuhara Camera」という銘板がつけられているが,どういうメーカーのいつごろの製品なのかがわからない組立暗箱である。4×5判よりも大きい「四切1/2」というサイズのカメラである(8×10判より少し小さい)ため,4×5判の組立暗箱よりは大きく重い。また,大型であるため,全体にやわな印象を受ける。

天気のよい午後,太田川放水路にこのカメラをもっていってみた。レンズは,あえてバレルレンズ(シャッターが内蔵されていないレンズ)である,Fujinar 21cm F4.5を使うことにした。バレルレンズを使うときには,ソルントンシャッターとよばれるシャッターユニットを使うことになる。
 川面に反射する光のなかに,釣りを楽しむ人たちのシルエットが浮かび上がってくる。やはり,「逆光は勝利」である。ネオパン100を装填してシャッターをレリーズした。

ん?シャッターが閉じない。。。。。

T(タイム)露出のためのレバーがセットされてしまっていた。つまり,明らかな露出オーバーである。使い慣れないカメラを使うと,どうしても操作ミスをしてしまうようだ。
 気を取り直して,ディジタルカメラで撮ることにした・・・・・。

Nikon D70, AF Zoom-NIKKOR ED70-300mm F4-5.6D

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