撮影日記


2006年08月04日(金) 天気:はれ

2つのミノルタ16P

16ミリカメラが欲しくなった,ということは先日,この日記にも書いた。16ミリカメラは,そのカートリッジが入手困難なことから,もはやコレクション対象としての流通が主となっている状態であろう。幸い,多くの16ミリカメラは金属ボディをもち,絞りくらいは操作できるようになっているなど,精密な機械としての魅力がある。このため,まだ,コレクション対象としての価値はあるのだろう。
 実用性がなく,純粋にコレクション対象となってしまったカメラであれば,きちんと動作していても,外見に傷が目立つようであれば,「ジャンク扱い」で売られているに相違ない。だから,古いジャンクカメラの豊富な,梅田のマルシンカメラに行ってみたいと思っていたら,ちょうど大阪に出張する機会に恵まれたのであった。

仕事を片づけて,マルシンカメラに立ち寄った。期待通り,ジャンクカメラが豊富である。お店の入り口に近いところから順に見ていくと,最初に目についたのはマミヤのムービーカメラである。これも実用性は「ゼロ」だが,マミヤのムービーカメラを見かけることは少ないので,ほかに欲しいものがなければこれを連れて帰るのもいいかな,と考えたものである。
 その近くには,グラフレックスのジャンク品があった。グラフレックスは,木製大型一眼レフと呼ばれるタイプのカメラである。当然ながら,これの特徴といえる大きなシャッター幕は,硬化して切れてしまっているので,自分の力で修復できるはずはない。また,ジャンクとしてはなかなかいい値段がついているので,さすがにこれを連れて帰る気にはならないのであった。
 さらに,タムロンの28mm-50mm F3.5のズームレンズがあった。見たところ問題はなさそうである。この焦点距離,明るさ,コンパクトさなど,実用性を考えても魅力的なレンズではある。

そうして,ジャンクコーナーのもっとも奥の方まで行くと,期待通り,ジャンク扱いの16ミリカメラが見つかった。見つかったものは,1960年に発売された「ミノルタ16P」である。シャッター速度は単速で,絞りはお天気マークで選択できる,機構が簡略化されるとともに操作も簡便になったモデルである。この価格は2625円であり,もう少し安く買えるとありがたいのだが,と思いながらもこれを連れてかえろうと考えた。ジャンクカメラの山の中からこれを取り出すと,その陰からもう1台,16ミリカメラが出てきた。裏をみると,これも「ミノルタ16P」と書いてあり,こちらの価格は1050円である。

なにが違うのだろう?

いろいろ見くらべたところ,どうやら2625円のほうが古いように思われた。その理由として,1050円のほうの製造者が「MINOLTA CAMERA」になっているのに対し,2625円のほうの製造者は「Chiyoda Kogaku」となっているのがある。また,1050円のほうには正面にレバーがついており,一方が日中の撮影用,もう一方がフラッシュ撮影用となっていた。帰宅してから調べると,これは1964年に発売された「ミノルタ16PS」という輸出専用のモデルらしいことがわかった。

価格の差は,「Chiyoda Kogaku」という古い名称,日本国内で流通していたもの,という点にコレクションとしての価値が高いということを意味しているのだろうか。もっとも,1050円の「ミノルタ16PS」は,2625円の「ミノルタ16P」にくらべて全体にやや汚かったので,単純に外見の差が価格の差につながっているのかもしれないが。


← 前のページ もくじ 次のページ →