撮影日記


2006年07月24日(月) 天気:あめ

16ミリカメラが欲しくなった日

先日,大阪に出張した際に,いっしょに梅田の「キタムラ中古買取センター」を訪れた友人の1人が,1冊の古い雑誌を貸してくださった。

「写真工業」(1960年12月)である。表紙写真は初代「マミヤプレス」である。また,記事中には,間宮精一氏へのインタビューもあり,マミヤのカメラ,とくにマミヤプレスを愛用する者としては,たいへん興味深い記事が掲載されているのである。

ほかにも興味深い記事は多数ある。特集記事として「国産カメラ16から4×5判まで」は,おもしろい。とくに,「16ミリカメラ」について言及されている「これからの16カメラ」には,興味深いフレーズが多く含まれていた。
 「16ミリカメラ」とは,幅16ミリのフィルムを利用したカメラである。フィルムが小さいため,カメラもたいへん小型にすることができ,「豆カメラ」として大ブームになったこともあったという。「16ミリカメラ」は,フィルムがカートリッジに収められており,装填が容易になっているものも多い。しかし,いくつかの規格が存在しており,それぞれに互換性がなく,フィルムの入手などの面において,問題も生じているようである。この記事では,写真工業会においてカートリッジの統一規格が制定され,近いうちにJISに規定されるだろうという状況が説明されている。
 その記事中においては,まず,「16ミリカメラ」の実用性を評価している。あらたに提唱された「統一規格」では,その画面サイズは12mm×18mmになるという。これは,ライカ判(24mm×36mm)の1/4であり,この時代に大流行がはじまったハーフ判(シネ判,18mm×24mm)の1/2である。したがって,今後,フィルムや処理液の性能があがれば十分すぎるほど実用的になるだろうと,この記事は訴えている。
 また,カートリッジ式にすることで,無駄なく,操作をより簡便にできるとも訴えている。たとえば,「統一規格」カートリッジでは,切り欠きを設けてフィルム感度を伝達している,などと提案されている。こういうことは,ライカ判のパトローネには無理である,とも主張している。

中古カメラ店をにぎわせている「16ミリカメラ」には,「マミヤ16」や「ミノルタ16」などのシリーズがある。これらの画面サイズは,10mm×14mmのものや12mm×17mm(クォーターサイズ)のものがある。「統一規格」の12mm×18mmは,「マミヤ16」や「ミノルタ16」では採用されなかったようだ。はたして,この「統一規格」を採用したカメラは登場したのだろうか?また,そのフィルムは供給されたのだろうか?

やがて「16ミリカメラ」は,市場から姿を消した。「110判」(13mm×17mm)カメラが市場を席捲したことが原因であろうか。その「110判」も,やがてはほとんど市場で見られなくなった。そして,ライカ判のパトローネには「DXコード」がつけられて,「統一規格」カートリッジが目論んでいたフィルム感度をカメラに伝達することが実現されている。


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