撮影日記


2006年07月01日(土) 天気:雨

「ちいさいおうち」と「せいめいのれきし」

子どものころに読んだことがある本に,ある日,突然再会することはないだろうか。そのとき,あらためて読み返してみて,その本が与えられたことに感謝したりしないだろうか。そういう本の1つに,バージニア・リー・バートンの文と絵による「ちいさいおうち」という本がある。その本は1940年代に書かれ,日本では1960年代半ばに紹介されたようだ。その内容は,次のようになっている・・・・

・・・静かな丘のうえに,ちいさい家があった。遠くに見える都会の明かりにあこがれるうちに,その家の周辺は次第に開発され,都会になっていく。そして,忘れ去られた存在になった家を,その家を建てたずっと後の子孫がみつけ,別の静かな丘をみつけて,そこへ引越しさせる・・・・・

家の周辺が開発される前の,四季や昼夜の移り変わりが美しく描かれている。そして,都会に変貌してにぎやかになっていく過程で,最初はなかばわくわくしながら,いつしか失われた光景を寂しく思うような,気持ちの変化が描かれている。昨今のスローライフのすすめのような,そういう感覚を,50年以上前に提唱されているのである。こういう本に,昔,出会っていたことは,たいへんありがたく思っている。

最近,図書館で,同じバージニア・リー・バートンの文と絵による「せいめいのれきし」という本をみつけたので,借りて読んでみた。これは宇宙が誕生してから地球が誕生し,さらに地球上に生命が誕生してから現代(この本が書かれた時代)までの変遷を描いたものである。いささか古いお話ではあるので,ところどころに古さを感じることばも出てくるが,地球の歴史の,時間的あるいは空間的にあわせてダイナミック変化するそのスケールを理解するためにも役に立つだろう。
 「ちいさいおうち」も「せいめいのれきし」も,どちらも絵本という形式をとっている。そのため,どうしても子ども向けの内容を扱った本だというイメージをもつかもしれない。実際に,子どもにも読みやすく書かれていることは間違いない。しかし,その内容の深さについては,おとなであっても読みごたえのあるものだと思うし,もし,まだ読んだことがないのであれば,今からでも多くの人が読むべき本の1つだと,私は思っている。


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