撮影日記


2006年06月30日(金) 天気:あめ

ホヤを食べた直後のビールは甘い

仙台で有名な食べ物というと,なにを思い浮かべるであろうか。
 私の周辺では,「牛タン」という回答が多かった。この食べ方は,仙台が発祥のものらしいが,食材としては外国からの輸入品が多いのが現状ではないだろうか。なので,あえてこれを求めることはしなかった。もっとも,今回の仙台など東北地方への訪問が,純粋に観光目的のものであったなら,計画的にさまざまな料理にチャレンジしたかもしれない。しかし,仕事がらみで,2週間を少しこえる滞在になったため,連日連夜,「名物を食べられる店」を訪れるのも,かえって疲れるというものだろう。

そのため,食料などを求めて,地元のスーパーマーケット等に立ち寄る機会も多くなる。スーパーマーケットでは,全国に流通していて,普段からよくみかけるような商品が見られる一方で,広島ではあまりみかけないように思われる商品も見られる。
 たとえば,「楽天イーグルスヌードル」なんか,それを買って,そのパッケージを記念に持ち帰ろうかなどと思ったりしたが,きれいな状態で持ち帰る自信がないので,それは思いとどまった。そのかわり,関東地方の出身者からその名前をよく聞くが,実際には食べたこともなければ,見たこともあまりないような気がする「ペヤング・ソース焼きそば」は,1回,ためしに食べてみた。私のイメージでは,カップ焼きそばというと,日清食品の「UFO」である。「ペヤング・ソース焼きそば」は即席麺特有の食後の「しつこさ」が弱い,あっさりしたものに思われた。
 仙台市内のスーパーマーケットで,私の目を引いた食品に,不二食品工場という会社が製造している「磯納豆」がある。陳列棚の隅にぶらさがっているのだが,その深い緑色っぽいパッケージに描かれた「人魚」の絵のインパクトが,あまりにも強いのである。原材料などを見てみると,とろろ昆布を細かくカットしただけのもので,添加物などは使用されていないようである。「納豆」という名前がついているが,これは納豆ではなく,あくまでも昆布であった。試しにこれを買って帰ったのだが,これが実にごはんによくあう。
 調べてみると,この商品は,広島では販売されていないようだ。東北地方以外の町では,扱いのある店があったとしても,ごく限られたもののようである。その一方で,「地元古川では知らない人はいない」と豪語している。単なる名物ではなく,私はこういう食材にスーパーマーケットのようなところで出会えることが,楽しいと思うのであった。

もちろん,滞在中のすべての食事を,スーパーマーケットや宿泊したビジネスホテルだけでまかなっていたわけではない。実は,仙台を訪れたら食べてみたいものがあったのである。それは牛タンではなく,「ホヤ」である。
 「ホヤ」の外見は,ところどころ赤くて,ぶつぶつしていて,それをグロテスクであると感じる人があるかもしれない。しかし,その身は,貝のようなもので,決してグロテスクな食感ではない。見た目や食感は,「ナマコ」の方がグロテスクだと思う。実際,「ホヤ」は脊索動物であり,「ナマコ」よりもはるかに哺乳類に近い生物なのである(って,そういう問題じゃないか・・・)。
 今回の滞在中には,「ホヤの塩辛」や「ホヤ酢」という形で,「ホヤ」を食べることができた。

OLYMPUS LT-1, JX100

このとき,「ホヤ酢を食べてすぐに,ビールを飲んでごらん。」と教えられた通りに試してみた。不思議だが,甘いのである。ホヤの苦さが,ビールを相対的に甘く感じさせてくれるのだろうか?あるいは,ホヤの成分がビールの成分と反応して,甘く感じるようになるのだろうか?ともあれ,ホヤ酢を食べた直後にビールを飲むと,喉の奥に,深い甘さを感じることができたのである。


← 前のページ もくじ 次のページ →