撮影日記


2006年05月31日(水) 天気:晴

テーブルヤシの花

静かなとき,突然,「コツン,コンコロコロコロ」という不思議な音が聞こえてくる。例年のことなのだが,静かなときに聞こえてくると,ちょっとどきっとしてしまう,そんなひそかな音なのである。

その正体は,これである。

小さくて見えにくいかもしれないが(いや,実際,小さいのだが),これはテーブルヤシの花が落ちたものである。テーブルヤシの花が,フローリングの床に落ちるときの音が,その正体である。

テーブルヤシは,その名のとおり,テーブルに置ける程度の大きさの小型のヤシである。寒さにも強く,日陰でも十分に育つので,観葉植物としてポピュラーなものである。これを購入したのは,もう10年くらい前になるだろうか。
 購入時は,苗を売るのによく使われる,小さな黒いビニールのポットに3本植えられた状態だった。根元から葉の先端まで,10cmもなかっただろう。ところで,テーブルヤシは栽培しやすい。そのため,気がつくと,そこそこ大きくなっている。すると,鉢が小さく窮屈に見えるようになってくる。そこで,春から夏にかけての季節に,一回り大きな鉢に植え替えることになるのだが,そうしてしばらくすると,大きくなった鉢にあわせて,それなりに大きく成長する。そうやって何度かの植え替えをおこなった結果,50cmくらいにまで成長した。このくらいが,テーブルヤシとして,もっとも見ごろな大きさではないだろうか。
 テーブルヤシがやってきてから数年後,春が近づくと,黄色い穂が出てくるようになった。花である。ヤシは,雌雄異体のため,雄株には雄花,雌株には雌花しか咲かない。うちのテーブルヤシは,すべて雄株のようで,実がなることはないようだが,花は咲き終わると,落ちてしまう。それが,冒頭に書いた「コツン,コンコロコロコロ」という音なのである。

花が咲いているとき,1つ1つの花をよく見てみると,水滴がついているように見えることがある。蜜が出ているようだ。落ちた花を拾い集めると,手が少しねばねばすることがあるのは,その蜜のせいだろう。


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