撮影日記


2006年05月12日(金) 天気:晴れのち雨

タムロン・アダプトールレンズの右と左

左手でシャッターレリーズボタンや巻き上げをおこなうカメラがあったら,その操作におおいなる違和感を感じることであろう。実際,Exaktaなど,左手でそれらを操作をおこなうカメラは存在するが,大半のカメラにおいて,巻き上げ操作とシャッターレリーズ操作は,右手でおこなうようになっている。それは,「カメラ」というカテゴリーの製品の基本的な特徴の1つであるといえる。
 このように,「カメラ」という製品の操作系は統一されているように思われるが,基本的な部分において,まったく統一されていない例もある。その代表的な例としては,「ピントリング」の回転方向があげられる。
 レンズの全長が,もっとも短くなっているのは,ピント位置が∞(無限遠)になっている場合である。そこから,レンズを繰り出して,より近距離にピントをあわせるときに,ピントリングを時計回りに回す製品と,反時計回りに回す製品が存在する。ここでは,レンズを前玉側から見たとき,ピントリングを時計回りに回すとレンズが繰り出されるものを「時計回し」,反時計回りに回すとレンズが繰り出されるものを「反時計回し」とする。
 「時計回し」のレンズの例としては,たとえば「ニコンFマウントレンズ」や「ペンタックスKマウントレンズ」が該当する。「反時計回し」のレンズの例としては,たとえば「ミノルタMC/MDマウントレンズ」や「キヤノンFDマウントレンズ」が該当する。

左:キヤノンFDマウントレンズ,右:ニコンFマウントレンズ

ピントリングを回す向きは,そのメーカーのシリーズの中では,ほぼ統一されているようだ。一方,さまざまなメーカーのカメラ用レンズを供給する,いわゆるレンズメーカー製のレンズの場合,純正レンズと回す向きをあわせている製品群もあれば,そうではない製品群もあるようだ。純正レンズと変わらない感覚で使えるようにして商品価値を高めるためには,純正レンズと向きをそろえることになるだろう。一方,それにこだわらないことで,コストダウンを実現することを狙った製品群もあるだろう。
 ところで,いわゆるレンズメーカー製レンズの中には,ユーザが自分でマウントを交換して,1つのレンズをさまざまなメーカーのカメラで使えるようなしくみになっているものもある。代表的なものとしては,タムロンの「アダプトール」シリーズがある。このレンズを見てみると,「反時計回り」でつくられているようだ。手元にある数本の,タムロン・アダプトールレンズは「反時計回り」であるし,「日本カメラショー カメラ総合カタログ」を参照しても,すべて「反時計回り」になっているように見える。

タムロン・アダプトールレンズは,反時計回り。

ところで,ここに「35mm-70mm F3.5 (17A)」というレンズが2本ある。ちょっと並べてみてみると,それぞれが「時計回り」と「反時計回り」になっていることがわかる。

時計回りと反時計回りの,タムロン・アダプトールレンズ(17A)。

「日本カメラショー 総合カタログ」を参照しても,17Aについては,反時計回りの製品しか掲載されていない。また,それに関する注意書きもない。「時計回り」のタムロン・アダプトールレンズ」は,どういう経緯で売られていたものなのだろうか。


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