撮影日記


2006年05月06日(土) 天気:雨

ワイド

レンズつきフィルムは,たいへんシンプルなカメラである。多くの製品は,屋外日中での,あるいはフラッシュを使って近距離での撮影において,最良の結果が得られるようにつくられている。そういう想定された条件で使う場合は,シンプルでよく写るカメラということになる。シンプルというのは,必要最小限の機能だけが搭載されているということであり,その結果,操作性もきわめてシンプルになっている,ということである。
 レンズつきフィルムにくらべれば,一般的なコンパクトカメラは,かなりの多機能カメラということになる。レンズつきフィルムは,シャッター速度も絞りも固定されているので,適正露出(高くなったフィルムの性能に支えられているわけであるが)を得られる条件はかなり限られる(しかし,その限られた条件で撮影する機会が多いのも事実であり,それゆえにレンズつきフィルムという商品は実用的なものとして成立する)。また,たとえばレンズつきフィルムの場合,焦点距離を切り替える機能は,「スナップキッズ ズーム」くらいしか例がない。一般的なコンパクトカメラでは,シャッター速度と絞りを自動的に調整するプログラムAE機構を搭載したり,ズームレンズを内蔵したりして,レンズつきフィルムよりも幅広い撮影領域に対応できるようになっている。

しかし,ズームレンズを内蔵したコンパクトカメラで,すべての撮影領域に対応できるわけではない。一眼レフカメラを使ったとしても,対応できない撮影領域があったり,あるいは,高価なオプションを用意しなければ対応できない撮影領域は存在する。
 そのような例の1つに,「水中撮影」がある。カメラは精密機械であり,最近のものはそれと同時に電子回路が加わっている。これらは,水に弱い。カメラは水没すると,かなりの確率で,修理すら不可能なダメージを受ける。したがって,水中での撮影のためには,特別な防水機構をもったカメラを使ったり,特殊な防水ケースに入れて使うことになる。特別な防水機構をもったカメラには,たとえばニコンの「ニコノス」というシリーズがある。そのままで水深50mにまで耐えることができる強靭な防水性能をもつが,交換レンズの種類が非常に少ないなど,それ1台であらゆる撮影に対応できるわけではないので,通常のカメラとは別に所有することになり,それだけ余計な出費が必要になるわけだ。
 水中撮影をしたい人は,それほど多くはないだろう。しかし,海水浴に行ったときに,ちょっと記念写真くらい撮りたい,という要求は多くの人がもつものと思う。そんなときだけのために,「ニコノス」を買うのは大げさといえる。1回しか使わないような撮影場面であれば,「レンズつきフィルム」も有力な選択肢になるだろう。実際,防水タイプのレンズつきフィルムは,商品として流通している。

最近のコンパクトカメラに内蔵されるズームレンズは,広角側が28mmまで広がっているものもある。一眼レフカメラにセット販売される廉価版ズームレンズも,広角側が28mmまでになっているものが多くなっている。しかし,それよりもさらに広角なレンズを使う機会は,なかなかないだろう。
 そのような超広角レンズは,被写体にぐぐっとよって遠近感を強調したアングルを試すことができ,たいへんおもしろいものである。そのような超広角レンズをお手軽に体験できる,そんなレンズつきフィルムも商品として流通している。それは,コニカミノルタの「撮りっきりコニカMINI WaiWaiワイド」(以下「WaiWaiワイド」)である。「WaiWaiワイド」は,17mmレンズを搭載したレンズつきフィルムで,ピントが合う範囲は,0.4m〜∞となっており,超広角レンズ特有の,被写体に迫った撮影も楽しめるようになっている。もっとも,このレンズつきフィルムが超広角レンズを搭載しているのは,「腕を伸ばして,自分と背景を一緒に写しこむ」(これをメーカーでは「自分撮り」と表現している)ためのようだ。

そんな「WaiWaiワイド」を買ってきたのは,コニカミノルタがカメラ・写真事業から撤退することによって,こういうユニークなレンズつきフィルムが販売なくなるのではないか?ということを懸念したからである。


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