撮影日記


2006年03月13日(月) 天気:曇

くまのプーさん

「2ちゃんねる」という,「巨大掲示板群」を知らない人はいないと思う。そこに書かれている内容を読んだことがないとしても,その名前くらいは,十分に知られていることだろう。
 「2ちゃんねる」は,多数の掲示板が集まったもので,1つ1つの掲示板は,「板(いた)」とよばれれている。そのため,カメラについての話題を扱う掲示板は「カメラ板」あるいは「亀板」とよばれる。「亀」はいうまでもなく,「カメラ」の「カメ」への当て字だ。こういう「当て字」は,「2ちゃんねる」などのネットワークコミュニティにおいて,しばしば見られる現象である。おそらく,仲間内だけで通じるような,一種の「暗語」の感覚なのだろう。そして,共通の「暗語」を理解しあうことで,仲間意識を共有することができるものと思われる。
 このような「流行」は,当て字や,単語にとどまらず,文章のレベルでも発生することがある。そのような「流行」した文章の1つに,「吉野家テンプレ」とよばれるものがある。「テンプレ」とは「テンプレート」の意味で,原文を適宜改変して,あらたな文章を発生させるのに用いられる。これが具体的にどのようなものであるのかは,Googleなどの検索サービスで,「吉野家」「テンプレ」などのキーワードで検索をおこなうと見つかるだろう。「テンプレ」のかわりに「ガイドライン」や「コピペ(コピー&ペーストの意味)」という形で紹介されている例もある。
 「2ちゃんねる」では,それぞれの「板」のなかで,具体的なさまざまな話題が語られるのだが,その1つ1つの話題は,「スレッド」とよばれる。「2ちゃんねる」の「カメラ板」では,数年前から「広島の中古カメラ街」についてのスレッド(略して「広島中亀スレ」とよばれたりする)が継続している。

ここはまだ前置きだ。もしかすると,この「撮影日記」を読んでくださっている方には,ここまでの冗長な説明は必要なかったかもしれないが,この「撮影日記」の姿勢としては,そのあたりのことをよく知らない方にも内容が理解できるようにしようと思うので,もう少し,お付き合いいただきたい。

さて,数年前,「広島中亀スレ」に,「吉野家テンプレ」を改変した文章が書きこまれていた。「吉野家テンプレ」原文では,(150円引きセールのために,普段,吉野家に来ていないような人が多数来店して混雑していることに腹を立てた状態で)『お前ら150円やるからそこどけ』と怒る文がある。そこの部分が,(中古カメラ屋さんのウインドウに人がたくさん群がっていて品定めができないことに腹を立てた状態で)『お前ら「写ルンです・くまのプーさん」やるからそこどけ』に改変されていたのである。この部分も含めて,全体的に実に軽妙で見事な改変であった。

そして,ここからが本題である。

昨年夏に購入したAPSカメラ「ネクシアQ1」は,その後,使われることなく保管されている。実に簡便なカメラなので,普段持ち歩くような用途には最適なのだが,APSフィルム(IX240カートリッジフィルム)があまり安売りの対象になることがないこともあって,フィルムを購入することなく,あわせて,使うことがなくなっているのである。
 さて,昨日も,最近よく立ち寄る「カメラのキタムラ」を覗いてみた。すると,「写ルンです」が1個198円という数量限定特価で売られているのを見つけた。これをよく見てみると,感度800のAPSフィルムを使ったものである。1本198円というのは,APSフィルムとしてはたいへん安いと言える。さらに,単3乾電池と簡便なカメラのメカニズムが手に入ると考えることもできるのだから,お買い得であると判断し,3個購入した。
 もっとも,なにに使うかなど,価格面以上のことはあまり深く考えていなかった。さてこれをどうしようか思案しているところである。

で,これと「前置き」がどういう関係にあるのかというと,

1個198円で売られていたのは,「写ルンです・くまのプーさん」だったのである。


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