撮影日記


2006年01月22日(日) 天気:晴

メディアと子育て

昨日は,携帯電話を買い換えるついでに,「テレビ・デジタル時代の子育て」というシンポジウムを見物してきた。主催は広島市および広島市教育委員会,場所は青少年センターのホールである。行こうかどうしようか迷っていたシンポジウムだったのだが,携帯電話の買い換えをしたお店が,「ドコモショップ パセーラ店」になってしまったこともあり,近いんだからやっぱり行ってみよう,となったのである。

秋葉市長の開会の挨拶の後は,教育評論家・尾木直樹氏による基調講演である。まあ,講演慣れしているお方のようで(笑),お話はおもしろい。聴く人を飽きさせない。内容は次から次へと脱線していくが,それらはすべて想定の範囲内なのであろう,豊富な事例を紹介するという結果につながっている。
 尾木氏の講演で触れられた内容は,あれもこれもで豊富だったわけだが,そのなかで1つ,おもしろいなと思ったことがある。それは,日本のテレビでのニュースは,子どもへの配慮が欠けている,という主張である。尾木氏の主張によれば,残虐な映像を伝えなければならないときでも,「子どもにとっては辛いかもしれませんが」のような一言の配慮があるだけで,子どもたちはずっと救われるはずだ,とのことである。日本のテレビ局は,どこも,そういった配慮なしに,同じ映像を繰り返し流しているという批判でもあった。これらのお話の内容は,どれも興味深く,なるほどと思わされるところがある。個人的な興味でいえば,さらに,「どこのテレビ局も同じことを同じように」伝えているという現状についても,なんらかの言及が欲しいところであった。

後半は,パネルディスカッションとなる。ここでは,「乳幼児期にテレビ漬けにしてしまうことには,コミュニケーション能力の形成に大きな問題がある」ということが1つの結論になりそうな内容であった。医学的にそのような現象が認められているということや,テレビを消して親子のコミュニケーションをきちんと保つことの重要性などが,パネリストの意見として列記される。
 この日のシンポジウムは,「子育て」が主題であるので,乳幼児期の問題が中心だろうから,こういう結論で終わらせても十分であろう。ただ,個人的関心から言えば,さらに少年期におけるテレビなどのメディアとのかかわり方についてまで,議論を聞きたかったものである。前半の尾木氏の講演では,そのあたりの問題についても言及されていたので,なおさらであった。メディアリテラシーに関わる内容が中心であれば是非とも見物したい,が,一般的な子育てに関わる内容が中心であれば無理に見物する必要はないだろう,と思っていたのが「行こうか,どうしようか」という「迷い」の理由である。結果は,やや物足りない面があるものの,全体として大いに参考になる話であったと思っている。
 こういうシンポジウムが公開されていながら(入場料無料で事前の申し込み等も不要である),せっかくのホールに空席が目立ったのは,少々もったいないような気もするのであった。

こういうシンポジウムを見物しないのはもったいない。ということを,今日の結論としておこう。

パネルディスカッションのようす

← 前のページ もくじ 次のページ →