撮影日記


2006年01月18日(水) 天気:曇

カールツァイスの着目すべき発表

しばらく前から,「カール・ツァイスがニコンFマウントのレンズを発売するらしい」というウワサがあり,その後,「近日発表」という予告がなされていた。そして今日,具体的なことが,カール・ツァイスのウェブサイト等で明らかにされていた。「Camera Lens News」,2006年1月発行のNo.23上でのことである。このレンズは「ZFレンズ群」と呼ばれる。これは,ツァイス(ZEISS)の「Z」と,ニコンFマウントの「F」を意味する名称と思われる。

ニコンFマウント(連動なし,Ai連動,CPU連動)

「Camera Lens News No.23」の「ZEISS Lenses for Nikon F Mount」の項目では,2006年春に「Planar 50mm F1.4」と「Planar 85mm F1.4」を発売することが示されている。
 「Questions about the new ZF」の項目では,開発者へのインタビュー形式で,発売にいたった背景などが語られている。このなかで,着目したい点がいくつかあるので,順に述べてみる。
 (http://www.zeiss.de/c12567a8003b58b9/Contents-Frame/e403322f9f3eb83bc12570f8003d4eb9)

「どうして,ツァイスZFレンズが,ニコンのレンズよりも好まれると思うのか?」という意味の質問に対して,2つの理由が述べられている。
 1つ目の理由としては,「ZFレンズ群は,描写の美しい円形絞りにこだわった。」ということを挙げている。日本製のレンズの多くは,特にニッコールレンズは,多角形の虹彩絞りとなっている。この差は,とくにハイキー部分のボケの描写に大きな影響を与えるように感じられる。
 着目すべきことは,もう1つの理由である。「たいへん単純なことだ。ニコンはちょうど,マニュアルフォーカスレンズ群の生産・販売の終了を発表したばかりだ。ZFレンズは,ニコンのレンズのかわりに買われるのだ。」という意味のことを述べている。ニコン様の重大発表(マニュアルフォーカスレンズの生産・販売の縮小)が1週間前のことで,ツァイスのニコンFマウントレンズらしきものの発表予告がその少し前のことである。ニコンとツァイスの間に,なんらかの合意があったのではないかとすら勘ぐることができるだろう。

M42マウントの「ZSレンズ群」の発売も予告されているところも,着目すべき点の1つだろう。「キヤノンユーザも,ZFレンズ群を使いたいと言うんじゃないか?」という意味の質問に対して,「EOSやFDのボディには,M42マウント用のアダプタが用意されている。M42マウントのZSレンズ群を使えばよい。」という,突き放したかのような回答がされている。
 実際のところ,EOSユーザが,ZSレンズ群のレンズを買うケースは少ないと想像できる。EOS用には,ヤシカ/京セラ製CONTAX用ツァイスレンズを使うためのアダプタが存在しているので,EOSユーザは,京セラがCONTAX事業を終了したことで相場が下がりつつあると言われる,それらのレンズを利用することができるからだ。

その他,ZFレンズ群の設計や試作はドイツ(オーバーコッヘン)でおこなわれたが,製造は日本のコシナが担当することも述べられていた。品質管理などは,ツァイスのスタッフがおこなうことになっているようである。また,9月のフォトキナでは,さらに数本のZFレンズが発表される予定だという。他のメディアなどで見られる画像を見たところ,それはDistagon 25mm F2.5とMakro-Planar 60mm F2.8と思われる。

「Camera Lens News No.23」の「New SLR with Contax/Yashica Mount」の項目では,「BARUN SR2000」という名称の,「ヤシカMLマウント」(ヤシカ/京セラ製CONTAX用レンズのマウント)のカメラボディが紹介されている。このカメラの詳細を知りたくて,Googleなどで検索したところ,これはニコン「FM10」にそっくりな姿をしていることがわかった。ニコン「FM10」は,コシナのOEM製品としてよく知られている。ニコン様,カール・ツァイス,そしてコシナの3者による今後の展開は,きっとおもしろくなることだろう。


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