撮影日記


2006年01月13日(金) 天気:曇

ニコン様の重大発表(2)
〜大判カメラ用レンズは全品生産終了〜

2006年1月11日のニコン様の重大発表の概要をもう一度見てみよう。

  1. 「F6」以外のカメラの生産を終了。
  2. 「F6」「FM10」以外のカメラの販売は,在庫がなくなりしだい終了。
  3. マニュアルフォーカスの交換レンズは,ごく一部を除き生産を終了し,在庫がなくなりしだい販売を終了。
  4. 大判カメラ用レンズは全品の生産を終了し,在庫がなくなりしだい販売を終了。
  5. 引き伸ばし用レンズは全品の生産を終了し,在庫がなくなりしだい販売を終了。

一般には,1,2,3が大きな話題になっていると感じられる。また,ニコン様の発表のなかでも,1,2,3は大きく示されているのに対して,4,5は,扱いが小さい。しかし,影響が大きいと考えられるのは,むしろ4,5(とくに4)ではないだろうか。ちなみに,ニコン様のウェブサイトの製品紹介のコーナーに「生産終了した製品」リストがある。そのなかに「大判レンズボード(リンホフタイプ)」が含まれていることは,見逃してはならない。この「メーカー在庫が払底しました」ということは,もう大判レンズを供給するつもりはないことにほかならない。

大判カメラを使っているユーザは,その高品位な画質を目的としているだろう。そういう目的には,まだディジタルカメラは十分に応じられていない。いや,足元にもおよんでいない。比較対象とすること自体が,まだまだ身の程知らず,ナンセンスな場面も多いだろう。そして,これまで小型カメラを使ってきた人たちも,次第により高画質を求めて中判カメラや大判カメラを使うようになっている。「フジGA645」や「ペンタックス645N」という,「押せば写る」中判カメラの登場で,中判カメラの敷居はぐっと低くなり,さらには大判までチャレンジしようという動機付けにつながってきたのではないかと想像する。
 私のように,ここ数年のうちに大判カメラに手を出しはじめた人は,まだ十分に交換レンズなどを入手していないかもしれない。そうであれば,多種の高性能な大判レンズを供給していたニコン様の「撤退」は,大きな影響につながるのである。大判レンズは,レンズボードを含めて,すべての製品の生産・販売を終了する。まさに「撤退」なのである。
 もっとも,大判カメラ関係についても,それを要求する仕事が全体的に減っているのか,カメラもレンズも比較的低価格で中古市場に放出されていると指摘する人もある。そうであれば,大判レンズも,中古市場に流通する分だけで,当面は十分であるのかもしれない。また,大判レンズや引き伸ばしレンズについて,少なくともフジはまだ「撤退」を表明していないから,ニコン様の「撤退」が,使える製品が市場から完全に消えてしまうことを意味しているわけではない。ただし,大判レンズの需要の低下は,シャッターユニットの需要の低下にもつながるわけで,シャッターユニットの生産が終了してしまうと,フジやそのほかのメーカーからも大判レンズの供給が終了する懸念はある。

今回のニコン様の決定は,フィルムの将来についても,決して明るくない材料となるだろう。まだ,カメラは少数ながら供給されるし,ずっと使われ続けているカメラも多数のものが市場に残っているから,フィルムの需要はまだまだある。しかし,フィルムについても,アグファの撤退,コニカミノルタの縮小など,やはり明るい状況ではない。

ところで,ニコン様の重大発表について,もう1点,その意味を考えてみたいものがある。それは,継続して供給されることになっているマニュアルフォーカスレンズだ。マニュアルフォーカス用カメラとして,継続して販売されるのは,OEM品で廉価版の「FM10」だけであるのに対し,継続されることになっているマニュアルフォーカスレンズは,どちらかというと高級な単焦点レンズばかりである。なんとなく,アンバランスではないか。
 この点について,友人の1人は,「(計測などの)工業用に需要のあるレンズだけが残った」という見方を示してくださった。そういう事情までは,私のような,ただのカメラ/写真趣味者には,なかなか気がつかないことである。

ニコン様を代表するレンズといえば,マイクロニッコール様である。

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