撮影日記


2005年11月27日(日) 天気:朝のうち少し雨

ひろしまドリミネーション

この時期になると,あちこちの家で,イルミネーションを点灯させているのが見られる。また,街では,木々などにライトアップがおこなわれていたりする。いつごろから,こういうのが流行しはじめたのだろうか。なんでもかんでも,むやみにライトアップしたりするのは,個人的には感心できない。しかし,統制のとれたライトアップというものは,美しいものがある。平和大通りを中心に,広島市の中心部でおこなわれている,「ひろしまドリミネーション」は,1つのテーマに沿って,街ぐるみでライトアップがおこなわれているものであり,点灯時間も17時から23時までで徒に深夜まで点灯したりしていないという意味で,好ましいものであると言いたい。
 これまで,このようなイルミネーションやライトアップを撮影することには,あまり興味はなかった。しかし,以下のことを思いついたとき,無性にこれらを撮ってみたくなったのである。

1つは,「ソフトフォーカスレンズ」で撮ってみたいと思ったことである。ソフトフォーカスレンズは,意図的に諸収差の補正を完全におこなっていないレンズで,霧がかかったような画像を得ることができるレンズである。とくに,明るい部分のまわりには,その現象が顕著に見られることから,発光体であるライトアップやイルミネーションを撮るのに適したレンズではないか,と考えたものである。
 今回,使用したソフトフォーカスレンズは,ニコン「おもしろレンズ工房」に含まれるソフトフォーカスレンズである。「おもしろレンズ工房」は,3本のレンズが含まれており,そのうち1本が,レンズを組み替えることで,マクロレンズあるいはソフトフォーカスレンズとして使えるようになっている。これは,ニコンから発売されている唯一のソフトフォーカスレンズでもあり,「おもしろレンズ工房」のなかで,もっとも使う場面が多いレンズになる可能性がある。
 ただ,ソフトフォーカスレンズで表現するべき被写体を,まだ十分に見出していない。そんなときに,今回の,イルミネーションの撮影に使うことを思いついたのである。「ひろしまドリミネーション」のイルミネーションに彩られた街は,おとぎの国を演出しているという。そうであれば,ソフトフォーカスレンズが,幻想的な雰囲気を助長してくれるものと,期待できるのである。実際,背景にある現実の世界がはっきりと見えないわけで,イルミネーションだけが目だつようになる。また,木につけられた青いライトを撮ってみると,ぶどうの房のように見えるのもおもしろい。

Nikon D70, SOFT90mm F4.5

ニコンD70様で「おもしろレンズ工房」のレンズを使うときには,露出計が連動しない。しかし,シャッター速度を変えて撮り(「おもしろレンズ工房」のレンズには絞りがない),それを内蔵された液晶モニタで確認することを繰り返せば,適当な露出に追いこむことができる。どのみち,夜景や発光体は,露出計があっても,適切な露出を求めることが簡単ではない。今回のような撮影には,ディジタルカメラはたいへん適しているといえるだろう。

さて,「ひろしまドリミネーション」を撮りたくなったもう1つの理由は,「ステレオ写真」である。「ひろしまドリミネーション」では,イルミネーションを利用して,建物や人,動物などを形作っている。これらは立体視すると,迫力が増して見えるのではないだろうか,と思ったのである。
 コダック「ステレオカメラ」には,露出計は内蔵されていない。シャッター速度は,1/200〜1/25とB(バルブ)だけである。そこで,Bを使い,F8〜F16くらいまで絞り,1秒から数秒程度の露光をおこなった。もう,露出なんかはヤマカン以外のなにものでもない。ネガカラーで撮れば,なんとか救われるだろう。
 ただ,ピントについては,距離計を使ってきちんとあわせて撮ったのだった。

Kodak STEREO Camera, 35mm F3.5, Centuria100

← 前のページ もくじ 次のページ →