撮影日記


2005年09月15日(木) 天気:晴

三脚穴の存在意義

前回,カメラとして必須の機構は「レンズ」「巻き上げ・巻き戻し」「シャッター」の3つであることがわかった。実際にいろいろなカメラを見てみると,「必ずある」といえる機構がほかにもあることに気がつく。

それはフィルムカウンタだ。1枚ずつフィルムや乾板を装填するようなカメラには必要ないが,複数のコマを撮影できるロールフィルムや,シートフィルムでもオートチェンジができるようなものには,なんらかの形で「今,何枚目?(あるいはあと何枚?)」という情報がわかるようになっている。
 フィルムカウンタは,巻き上げ機構の近くに用意されていることが多い。フィルムを巻き上げる動作をするときに,目に付きやすい場所だからということもあるだろうし,巻き上げ動作にともなって動く機構だから,その近くにある方が合理的というものだろう。
 かつて100円で売られていた,ダイソー「おもちゃのカメラくん」にも,きちんとフィルムカウンタはあった。また,レンズつきフィルムにも,ちゃんと用意されている。「おもちゃのカメラくん」のフィルムカウンタは,カメラの底部にある。

Nikon FM, Camera kun
左は一般的なフィルムカウンタの位置,右は底面にフィルムカウンタのある例。

ところで,カメラの底部には,巻き戻しのときに押すボタンがあることが多い。これは,フィルムのパーフォレーション(左右に並んだ穴)にかみ合う歯車のついた軸(スプロケット)が,フィルムを送る向きとは逆向きに,自由に回るように切りかえるボタンである。
 ほかには,電池ボックスの蓋があったりするのが,カメラの底部だが,カメラの底部に必ずあるものが1つある。それは三脚ネジ穴だ。

きれいな写真に,ブレは大敵である。ブレを防ぐには,カメラを固定することが基本であり,そのために使われる道具が三脚である。三脚の,カメラを乗せる台(雲台)にはネジがあり,これをカメラの底部にあるネジ穴にねじこんで,カメラを固定するようになっている。
 ところが,「おもちゃのカメラくん」には,三脚のネジ穴がない。ほかの,おもちゃとされるカメラはどうだろうか。4連写カメラ「Graphic35」にも,9分割カメラ「POP9」にも,三脚のネジ穴はない。

Graphic35, POP9
「おもちゃ」なカメラには,三脚のネジ穴がない!
なぜかフィルムカウンタは,これらも底面にある。
基本的なメカニズムが共通なのだろうか?

三脚のネジ穴は,「カメラ」であるための,最後の条件に相違ない!「カメラ」と「おもちゃ」の境界は,ここにあったのだ。
 ところで,「MF-7000DV」というカメラの底を見てみると,きっちりと三脚のネジ穴があった。うーむ,これは「本物っぽく見せる」ことをねらった「おもちゃカメラ」なのだ。だから本物っぽく,三脚のネジ穴を用意したのだ。

たぶん。

MF-7000DV
「MF-7000DV」は,本物っぽい印象をねらった「おもちゃ」だ。

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