撮影日記


2005年09月13日(火) 天気:晴

カメラがカメラであるために

「カメラ」とはなんだろうか。広辞苑(第4版)を引いてみた。それによると,光学系と像を受ける部分をもった暗箱という装置として説明されている。また,カメラオブスキュラ,写真機,撮影機,テレビカメラ,ビデオカメラを総称したものとして扱われている。そのためか,光学系は針穴,レンズ,反射鏡を含んでおり,像を受ける部分としては,すりガラス,紙,感光材料,撮像素子が含まれている。

さて,今日のテーマにしたい「カメラ」は,日本語で「写真機」というものに該当するものに限定して考えたい。ついでに「写真機」を広辞苑で引いてみた。それによると,装置としては,光学系と感光材料を収容する本体,という説明がある。
 ということは,感光材料を使わずに撮像素子を使うディジタルカメラは,「写真機」ではないということになりそうだ。ディジタルカメラは写真を撮る装置ではない,ということは,ディジタルカメラで記録されたものは,画像データであり,写真ではないということになるのだろうか。
 気になるので,さらに「写真」を引いてみた。すると,「目に見える形で記録されたもの」という説明がある。フィルムに記録された像は「写真」だが,ディジタルカメラで撮影されて記録されただけの画像は,「写真」ではないのかもしれない。適切な形で,紙などに出力してはじめて,「写真」になることができるということかもしれない。

・・・・という屁理屈は,まあ,こっちへおいといて。
 カメラ(=写真機)は,像をフィルム(など)に固定するために,さまざまなしくみをもっている。いったい,どれだけのしくみがそろえば,それを「カメラ」とよんでよいことになるのだろうか。とりあえず,35mm判カメラに限定して考えてみたい。

Nikon FM

このカメラを見ると,正面に大きなレンズがついている。これは,像を結ぶために不可欠のものだから,レンズなどの光学系は必須だといえる。つぎに,フィルムを装填し,コマを次へ送るための巻き上げ機構がなければ撮影できないわけで,さらに撮影済みのフィルムを巻き戻すしくみも必要である。
 写真は,ある一定の時間だけ,フィルムに光を当てるようにして,像を記録する。だから,シャッターがなければ,カメラとしては成立しないといえる。
 このカメラを見てみると,ほかにもシャッター速度調整ダイアルや,絞りリング,ピントリングなどがあることがわかる。最近の多機能カメラであれば,自動的に露出をずらして何コマかを撮影する機構や,同様にピントをずらして何コマかを撮影する機構(一部のAFカメラに盛りこまれているようだが,AFの精度が十分ではないことを認識しているものなのだろう)すら盛りこまれているものもある。これらの機構は,たとえ存在しなくても「きれいな像を記録できる条件が狭くなる」だけであり,「写真を撮る」という本質には影響しないものである。

こうしてみると,巻き上げ機構などは電動化されて存在が外から見えなくなっているものも少なくないが,「レンズ」「巻き上げ・巻き戻し」「シャッター」の3つが,カメラとして必須の機構であるということができるだろう。


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