撮影日記


2005年08月24日(水) 天気:雨が降ってきた。台風はどこへ?

広角レンズとコンパクトカメラ

1980年代前半。フジやコニカ,キヤノンなどのコンパクトカメラには,焦点距離38mmのレンズが使われるのが一般的だった。そのころ,ペンタックスやニコンがコンパクトカメラ市場に参入するが,カメラを薄く小型にするために,35mmのレンズを採用した。オリンパスXA2やマミヤUなど,コンパクトさを強調するカメラも同様に35mmレンズを採用している。
 35mmレンズは,一般に広角レンズとして認識される。しかし,その遠近感が誇張される程度は,さほど激しくなく,標準レンズのごとく素直に使えるレンズでもある。コンパクトカメラに,このくらいの焦点距離のレンズがよく使われる理由としては,素直に扱いやすいというメリット,ピント調整が多少ラフでも,被写界深度内に収まって失敗なく写せるというメリットなどがあるのだろう。とくに,距離計を内蔵しなくなったコンパクトカメラは,ピンとの精度の問題から,40mmよりも焦点距離の長いレンズを採用することは,避けているのかもしれない。
 用途の面から考えてみると,コンパクトカメラの使われる場面の多くは,旅行などの際の記念写真ではないだろうか。広角レンズであれば,写す側と写される側,お互いが遠く離れなくても,ほぼ全身と背景を写野に入れて撮ることができるだろう。

そのように考えると,コンパクトカメラには28mmレンズの方が適しているのではないか?という気もしてくる。28mmレンズであれば,カメラをより小型にすることもできるだろうし,被写界深度も稼ぎやすくなる。狭い室内でも,大勢の人を写すことができるようになる。しかし,実際には,28mmレンズを採用したコンパクトカメラは多くない。
 考えられる要因としては,28mmレンズでは,多くの人にとって「広角過ぎる」という可能性がある。28mmレンズのカメラで記念写真を撮ると「人も景色も小さく写りすぎる」という不満が出るのかもしれない。
 写真をとくに趣味にしていない人がカメラを買うときの相談に乗ったことがあるが,まずは「レンズのズーム比」を気にするようだ。これはだれにでもわかりやすい要素であると同時に,「広い範囲を写しこみたい」という要求よりも「遠くのものを大きく写したい」という要求の方が大きいことをあらわしているようにも思われる。
 結局,28mmという広角レンズを搭載したカメラは,一部のマニアにしかウケることがないのかもしれない。

最初に28mmレンズを搭載したコンパクトカメラがなにであるかは確認していないが,「コーワSW」はかなり初期のものと思われる。その後,「ニコンミニ(AF600)」は,28mmレンズを搭載して,当時世界最小最軽量のカメラを実現していた。そのほかには,「ニコン28Ti」や「ミノルタTC−1」など,高級コンパクトカメラとよばれるもので28mmレンズを搭載した例があるが,これらはやはりマニア向けの製品と考えられるだろう。
 もう何年も前に入手していて,最近ようやく使ってみた「オリンパスIZM220」というカメラは,28mm〜56mmの2倍ズームレンズを搭載したカメラである。

OLYMPUS IZM220, GOLD200

このカメラは,ジャンクコーナーから200円で拾い出したものであるが,動作等に問題点は見られない。望遠側が56mm程度では,多くのユーザには物足りなく,人気が出ずにジャンクコーナーに寂しく埋もれることになったのであろうか。


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