撮影日記


2005年06月23日(木) 天気:晴

「ピッカリコニカ」を追う者

カメラの進歩の流れの1つに,「だれにでも使いやすいもの」へ向かうものがある。そのために,操作は自動化あるいは簡略化されてきた。同時に,小型軽量化や低価格化も進められてきた。「ピッカリコニカ」は,フラッシュ撮影まで自動化した,カメラの1つの到達点に位置するものであった。
Yashica 35MF その後,「ピッカリコニカ」に続くカメラが,各社から登場した。まずは「ヤシカ35MF」である。ピッカリコニカにくらべてやさしい印象のフォルムと,使わないときは,ボディ内部に隠れる内蔵フラッシュが特徴的である。フジからは,「フラッシュフジカ」が登場した。「ピッカリコニカ」にくらべて,精悍な顔付きの,いかにもカメラらしいスタイルが特徴といえるだろう。
 実はこれらのカメラのスペックには,顕著な差は,認められない。おそらくは,使う部品がみな似たようなものだったのだろう。二眼レフの時代と,似たような現象といえるかもしれない。

この時代は,フラッシュ内蔵による,大きな自動化のアドバンテージとともに,軽量化や低価格化がいっそう進んだとも感じている。カメラボディから金属部品が少しずつ少なくなっていき,外装はほぼ完全にプラスチック部品になっている。こんな時代のカメラは,中古カメラとして人気がまったくないようで,ほとんど値段もつけられず,動くかもしれないものが,「ジャンク」として扱われていたりする。かつては,多くの家族たちの楽しいひとときを,あるいは仕事の記録写真を,たくさん撮ってきた彼らは,寂しくジャンクの山に埋もれているのである。
 今日,用事のついでに,的場町に寄る機会があった。日曜日には店を閉めている「大洲カメラ」を覗くのは,こういう機会でなければ難しい。この店は,よく見てみると「珍しいもの」「変わったもの」がなにげに埋もれており,それを見つけ出すのが楽しいのである。表のショーウインドウにも注目すべきものがあったが,今日は,店内のジャンクのなかに,以前からさがしていたものを見つけることができたことを書いておこう。「マミヤ135EF」である。
Mamiya 135EF 「マミヤ135EF」は,「ピッカリコニカ」と同様の,フラッシュ内蔵EEカメラである。ピントは目測4点ゾーンフォーカス式。シャッター速度は1/60,1/125,1/250の3速だけのプログラムEEとなっている。このカメラの特徴は,ボディのデザインだ。角の丸い,あたたかみのあるデザインだという印象を受けていた。表面はチープなつるつるてかてかなものだが,丸みを帯びたシルエットとあわせて,たいへん印象に残るカメラだったのである。マミヤのコンパクトカメラは,あまり売れなかったのだろうか,中古品としても,ジャンクとしても,あまり見かけることはなかった。しかし,ここのジャンクの山のなかに,「マミヤ135EF」の姿は,たくさんあったのである。しかし,多くのものは,フィルタのリングが欠けていたり,電池ボックスに腐食が見られたりして,あまりに状態が悪い。そんな中から,比較的程度のよいものをお迎えすることにした。掃除して,電池を入れてみると,ちゃんと動作しているように見える。

Mamiya Mここではさらに,「マミヤM」というカメラも見つけ出すことができた。これは,AFやモーターによる巻き上げも搭載した,フルオートコンパクトカメラである。これも,見かけることはほとんどなかったので,お迎えすることにした。残念ながら,これは巻き上げが正常に動作していない。直すことができればいいのだが・・・・。
 この2台を買いたいと店主に告げると,「最近の人は,マミヤが35mmカメラを出していたことを知らないでしょうねえ」と話しかけられた。たしかに,そうかもしれない。これらのカメラはすっかり忘れ去られた存在なのである。彼らはいったい,なにを記録してきたのであろうか。


← 前のページ もくじ 次のページ →