撮影日記


2005年06月12日(日) 天気:曇ときどき晴

モリアオガエルと出会う

昨日,中国地方も入梅したらしい。昨日の朝はものすごい雨だったし,来週の週間予報でもすっきりしない日が多い。しかし,今日は,雨は降らないという予報だ。そこで,三段峡へ行くことにした。
 今日,撮影の対象にしようと考えたものは,モリアオガエルの卵である。
 モリアオガエルは,樹上生活をするカエルである。ところが,産卵の時期になると水辺にあらわれ,木の枝に泡のような卵を産みつけるのである。三段峡の周辺では,この時期によく見かけるものだ。今日は,道中でモリアオガエルの卵を撮影できるだろうという期待とともに,それを撮った後は,久しぶりに三段滝まで踏破することを予定した。そのため,撮影機材は,次のものを選んだ。

  • マミヤプレス本体とレンズ3本(50mm,75mm,100mm,250mm)
  • 三脚 スリック マスター
  • 三脚を「マスター」にして装備の軽量化をはかりながら,レンズは超広角,広角,標準,望遠と欲張ったものである。

    期待通り,道中のいつもの場所で,多くのモリアオガエルの卵に出会うことができた。ここで何枚か撮影し,さらにピントグラスを覗くと,なにかもぞもぞしている。あらためて木の枝を見上げると,モリアオガエルが集まりはじめているではないか。これから産卵をはじめそうな気配である。ここで予定変更である。なによりも「マスター」では,木の枝に近づいて撮るには,全高が足りないのだ。さっさと荷物を片付け,駐車場まで戻り,機材を次のように交換した。

  • マミヤプレス本体とレンズ2本(100mm,250mm)
  • 三脚 スリック ザ・プロフェッショナル
  • ニコンD70,18-70mmズームレンズ
  • ニコンF3,75-150mmズームレンズ
  • 少々急ぎ足気味で,1時間ほどで往復し,戻ってみると,やはり産卵であった。卵が少しずつ大きくなっている。数匹のモリアオガエルが1箇所に群がっている(こういう状態の枝が2箇所ほどあった)。これまで,モリアオガエルの卵は何度も見たが,産卵しているときを見るのははじめてであったので,今日はここだけ撮ることにしたのである。
     しばらく撮っていると,通る人に話しかけられる。その都度,モリアオガエルが産卵していることを示すと,みんな立ち止まって見ている。するとさらにほかの人も立ち止まって見る。こういう状態がしばらく続いた。

    さらには,「ほお,マミヤプレスは懐かしいね」と声をかけてくださった方もあった。数10年前,マミヤプレスを持って南米に撮影にでかけたが,大きく重くて結局使わないので,現地で売りはらってこられたそうである。今日は,全国の著名な山を巡る道中だとのことだが,モリアオガエルの産卵を目撃するのは,その方も,はじめてだとのことであった。私が「目だつ」カメラを構えていなかったら素通りするところだったよ,などと言われると,少しは役に立てたようで,うれしかったりする。

    しばらくして,日が陰ってきた。太陽がちょうど山に隠れようとしていた。それにあわせるかのように,モリアオガエルたちは,枝を伝って,山の中へ帰っていった。


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