撮影日記


2005年06月09日(木) 天気:晴

挑戦的な距離計連動機 フジカ35−EE

入手してから長い間,使わずにいたカメラがある。フジカ35−EEである。

このカメラは,レンズシャッターカメラとしては例の少ない,1/1000秒のシャッター速度を使うことができるカメラである。それを活かすことを意識しているのか,撮影レンズはF1.9という大口径比のものが採用されており,セレン光電池式の露出計を内蔵してシャッター速度優先AE(およびマニュアル露出)が可能になっている。
 ピント調整もおもしろい。ボディ背面の,カメラを構えたときに右手の親指があたるところにあるダイアルを回すことで,ヘリコイドが直進し,ピントを合わせることができる。もちろん,内蔵された二重像合致式距離計とも連動している。
 おもしろい点としては,巻き上げレバーが底面にあることもあげられる。巻き戻しクランクが側面に埋めこまれた状態になっており,ギアを介してフィルムを巻き戻すようになっている点も,おもしろい。

このように意欲的なしくみを採用しているが,このカメラが使いやすいか?といわれれば,それは「はい」とは言い難い。
 まず,なんといっても重いのである。これはこの時期の多くのレンズシャッターカメラに共通して言えることであるが,その重さは,これまで持ち出すことがなかったことの大きな理由の1つである。同様な理由で,ミノルタ「ハイマチック7」やリコー「エルニカ」なども,大口径比のレンズという魅力を感じながらも,持ち出して使うことがないのである。
 使いにくい点としては,巻き上げレバーの問題もある。巻き上げレバーは,やはり右手上面にある方が使いやすい。それだけである。フジカ35−EEが,巻き上げレバーを底面に配置したのは,ピント調節のダイアルや露出計を,どうしても右手上部に配置したかったその結果に過ぎないのではないだろうか。
 さらに,シャッターレリーズボタンも使いにくい点の1つである。マニュアル露出時は,ふつうのシャッターレリーズボタンに見えるが,シャッター速度優先AEにダイアルをあわせると,これがポンと飛び出すのである。

この姿は,なにかに似ていないだろうか?そう,右手側上部背面のピント調整ダイアルと,上部に煙突のように飛び出している棒・・・・フォクトレンダー「ビテッサ」に似ている。私は「ビテッサ」を所有していないので正確なことはわからないのだが,「ビテッサ」は左手側に飛び出した「棒」を押しこむことで,巻き上げとシャッターチャージができるようになっているそうだ。右手でシャッターレリーズとピント調整,左手で巻き上げとシャッターチャージを交互にして,速写性を高めているというのである。
 ところが,フジカ35−EEの場合,せっかくシャッターレリーズボタンとピント調整ダイアルに指をかけていても,1コマ撮るたびにカメラを持ちかえて,底面の巻き上げレバーを操作しなければならない。これでは,速写性は望めない。シャッターレリーズボタンも,シャッター速度優先AE時に飛び出すことによりストロークが尋常ではない長さとなり,使いにくくなってしまう。

もっとも,フジカ35−EEをこれまで使ってこなかった最大の理由は,露出計が動作していなかったことである。
 最近,これを分解してセレン光電池のあたりをさわってみたところ,あっさりと露出計が復活した。おそらく,接触不良の状態になっていたのであろう。
 ということで,ただいま試運転中なのである。


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