撮影日記


2005年06月02日(木) 天気:雨

電子透かしと入墨者

最近,友人がウェブサイトで公開していた画像が,ほかのウェブサイトに盗用されるという事件があった。彼の「今後は,(公開する画像に)著作権表示を入れておいたほうがいいかなあ?」という意味の発言に対して,ほかの人から「電子透かしはどうだろう?」という発言が出ていた。
 電子透かしとは,そのままでは視認できないような記号を画像に埋めこんでおく,というしくみのものである。これは,いろいろな組織がシステムを提供している(もちろん,それなりの費用が必要になる)が,次のような特徴をもつ。

  1. 著作権表示はそのままでは視認できない。
  2. もとの画像を劣化させない。
  3. 著作権表示を改変されることがない。

さらに,検索エンジンのサーチロボットのようなしくみで,不正使用を監視できるものもあるようだ。これは,費用の面を除けば,きわめて理想的なものといえるだろう。
 それに対して,公開する画像の隅に,著作権表示を入れておく,という方法はどうらどうか。これは,電子透かしのもつ長所のまったく反対のものである。とくに,トリミングすることで簡単にその表示が消されてしまう(上記3の条件が満たされない)のでは,まったく意味がないかもしれない。しかし,そのまま流用されたり,画像への直接のリンクを使って,他人の作成した画像を自分のウェブページに埋めこむような使われ方は,防ぐことができるだろう(この場合については,電子透かしよりも効果が高いだろう)。

電子透かしではない方法で著作権表示を入れた場合

テレビのニュースで,警察が犯罪者のDNAに関する情報をデータベース化するということが伝えられていた。あわせて,凶悪な犯罪者や再犯性のある犯罪者については,DNAの情報を保存することを法律で義務づけることも検討しているという。これによって,「こんど,なにかしたら,すぐにつかまってしまう」という可能性が生じるわけで,再犯の抑止につながるのではないか,と言われている。また,DNAの情報は,ふだんはまったく視認できないわけで,犯罪者の更正を妨げるものではない,ともいう。
 むかしむかしには,犯罪者は体に「入墨」などのしるしをつけられた,という。これによって,そういう人をみんなが監視することで,再犯を抑止する効果があったというが,それ以上に更正を妨げる,という指摘もあるようだ。むしろ,そこを狙った「厳罰」だったと考える方がいいかもしれない。
 「DNAの情報」と「入墨」の関係が,なんとなく,「電子透かし」と「単純に著作権表示を入れておくこと」との関係に,似ているような気がした。


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